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■引用原文(日本語訳)
しかし、知識により彼らの自己(個我)の無知が滅せられた時、彼らの知識は太陽のように、かの最高の存在を照らし出す。
(第5章 第16節)
■逐語訳
だが、真の知識によってその人の無知が取り除かれたとき、
その知識は、太陽のように輝き出し、
至高なる存在(真我・ブラフマン)を明らかに照らす。
■用語解説
- 知識(ジュニャーナ):霊的真理の理解。自己の本質、宇宙の本質を正しく知る智慧。
- 自己(個我/アートマン):真の自分。身体や心を超えた存在。
- 無知(アヴィディヤー):真実を知らない状態。自己を身体・感情・思考などと誤認すること。
- 太陽のように:すべてを明るく照らし出す比喩。知識は暗闇(無知)を払う力を持つ。
- 最高の存在(パラム・ブランマ):究極的な実在・真理。個人の自己を超える普遍的原理。
■全体の現代語訳(まとめ)
しかし、真理を知る知識によってその人の無知が取り除かれたとき、
その知識は太陽のように光を放ち、
その人に最高の真理(真我・宇宙の本質)を明らかに示してくれるようになる。
■解釈と現代的意義
この節は、「無知は人を惑わし、知識は人を照らす」というギーターの核心思想を語っています。
私たちは普段、「私は身体だ」「私は感情だ」「私はこの立場だ」と誤解しがちです。
その誤認が苦しみや執着、恐れの原因となっています。
しかし、真の知識とは――それがたとえ宗教的でなくとも――「本来の自分が何者で、何のために在るのか」を見せてくれます。
この気づきは、どんな戦略やテクニックよりも、人生と仕事を照らす灯となるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
セルフアウェアネス | 自己理解を深め、自分の強みや限界、価値観を把握することで、的確な行動ができる。 |
迷いの払拭 | 本質的な目的やビジョンを持つことで、短期的な損得や外部評価に振り回されにくくなる。 |
リーダーシップ | 真理に基づいた知見は、人を感化し導く力を持つ。リーダー自身が内面の太陽を灯せば、組織全体が明るくなる。 |
意思決定 | 根拠なき不安や焦燥(=無知)を乗り越え、事実と本質に基づいた判断ができるようになる。 |
■心得まとめ
「知識は、内なる太陽。無知を超える時、真の自分と出会える」
何が正しいかではなく、「何を明るく照らしてくれるか」。
私たちが迷いや不安に陥るのは、真実から目を逸らし、自分を見失っているからです。
ギーターは教えます――知識は太陽であり、自らの中にある本質を照らす力なのだと。
その太陽を灯すことで、人生もビジネスも、方向を見失わずに進んでいけるのです。
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