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行為のただ中で、無為の境地にとどまる


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■引用原文(日本語訳)

〔行為のヨーガに〕専心した、真理を知る者は、「私は何も行為しない」と考える。見て、聞き、触れ、嗅ぎ、食べ、進み、眠り、呼吸しつつも。
(第5章 第8節)


■逐語訳

行為のヨーガに専念し、真理を悟った者は、「私は何も行っていない」と認識している。たとえ目で見て、耳で聞き、皮膚で触れ、鼻で嗅ぎ、口で食べ、足で歩き、眠り、呼吸していたとしても――。


■用語解説

  • 行為のヨーガ(カルマ・ヨーガ):結果に執着せず、行為そのものを神への捧げものとして行う道。
  • 真理を知る者(タットヴァヴィット):自我(エゴ)ではなく、真の自己(アートマン)が行為の背後にあると悟った者。
  • 私は何も行為しない:行為そのものは身体や感官によってなされているのであって、「私」という自我が行っているのではないという境地。
  • 見て、聞き、触れ…:人間が行う日常的な五感・行動すべて。

■全体の現代語訳(まとめ)

行為に集中しながら真理を知った者は、たとえ五感を使い様々な行動をしていても、「私は何もしていない」と捉える。その人は、自我を超えた視点で、すべての行為をただ観察し、流れに委ねている。


■解釈と現代的意義

この節は、「自我を越えた行為の境地」を説いています。外から見ればその人は日々さまざまな行為をしているが、内面的には「私がやっている」という意識がないため、行為に縛られることも、疲れることもないのです。

現代においても、「やらねばならない」「自分の責任だ」といった重たい自我の意識に苦しむ人が多くいますが、この教えは、行為を自然に流れるものとして受け入れる心の在り方を示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
業務への没入「成果を出さねば」という重圧から離れ、「ただ行為に集中する」ことで、フロー状態を生み出す。
ストレス軽減「自分が抱えすぎている」という錯覚を手放し、組織の一部として自然に役割を果たすことで、心の軽さを得る。
リーダーシップ指示や判断を「自分が支配している」感覚から脱却し、状況と人に任せて導く、調和的なリーダー像へ。
成果と執着結果に執着せず、プロセスを全うすることで、長期的にブレない成果が出せる。

■心得まとめ

「私は行っていない――その境地が、最も自由な働き方を生む」
目の前の行動をただ淡々と行いながら、「これは私がやっている」という重さを持たない人は、真に自由であり、疲弊しません。ビジネスの現場でも、「自己と結果の間の距離」を取ることで、より深い集中と創造性を得ることができるのです。


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