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放棄か実践か――真の道は見極めによって開かれる


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■引用原文(日本語訳)

アルジュナはたずねた。
「クリシュナよ、あなたは行為の放擲*を讃え、かつ行為のヨーガを讃える。この両者のうちでどちらが優れているか、はっきりと私に語って下さい。」
(第5章 第1節)
*放擲(ほうてき):捨てること、放棄すること。特に義務的な行為からの離脱。


■逐語訳

アルジュナは言った。
「クリシュナよ、あなたは行為の放棄を称賛し、また行為のヨーガ(行為の道)も称賛しています。この二つのうち、どちらがより優れているのか、どうかはっきりと教えてください。」


■用語解説

  • 行為の放擲(サンニャーサ):すべての行為(カルマ)を手放し、現世的な務めや役割から離れて精神的解脱を目指す生き方。
  • 行為のヨーガ(カルマ・ヨーガ):行為を放棄せず、執着なく、義務として果たしていく精神的実践。
  • アルジュナ:主人公であり、内面の葛藤と成長を象徴する求道者。
  • クリシュナ:神の化身であり、真理を教える導師の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

アルジュナは、自分のすべきことがわからなくなり、クリシュナに問いかける。「行為を捨てる道」と「行為を貫く道」のどちらがより正しいのか――。真理を追求しようとする者が最初に抱える、根源的な問いがここに示されている。


■解釈と現代的意義

この節は、「実践と放棄」という対立する考え方に対する疑問を提示しています。人生やビジネスにおいても、積極的に動くべきか、それとも距離を置いて静観すべきかという選択を迫られる場面は少なくありません。ここでは、「どちらの道が優れているのか」という問い自体が、自分の立ち位置を探るための第一歩であることを示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
意思決定積極的に動くか、撤退するかという二択の場面では、まず両者の意味と価値を冷静に見極めることが重要。迷いを言語化することで、正しい選択への第一歩を踏み出せる。
キャリア選択転職・起業・退職などの岐路では、「やるかやめるか」ではなく、「自分の軸に合っているか」を問い直す必要がある。
マネジメント部下の行動を制御するよりも、彼らが自ら「行動すべきか/待つべきか」を考える機会を与えることが、成熟した組織を育てる。

■心得まとめ

「迷いを抱くことこそが、道を拓く始まりである」
アルジュナの問いは、私たち自身が直面する決断の葛藤を映しています。行うべきか、引くべきかという選択は、どちらが絶対に正しいとは限りません。大切なのは、「自分の価値観と向き合い、明確な問いを立てること」――その勇気が、最善の道を導く鍵となるのです。


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