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性質が動いても、私は動かない――真の中立性とは静かな力である


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■引用原文(日本語訳)

「彼は中立者のように静止し、諸要素によって動揺させられず、諸要素が活動するのみと考え、安住して動かない。」
(第14章 第23節)


■逐語訳

その人(グナを超えた人)は、
あたかも中立者のように静かにとどまり、
三グナ(純質・激質・暗質)の作用によって心が揺さぶられることはない。
彼は、ただそれらグナが活動しているにすぎないと理解し、
心の奥深くに安らいで、揺るぎなく在り続ける。


■用語解説

  • 中立者のように(udāsīnavat):物事に介入せず、利害・感情に左右されない態度。傍観者ではなく“内面の不動の目”を持つ者。
  • 静止し(tiṣṭhati):心が波立たず、とどまる状態。精神的沈着。
  • 動揺させられず(na hiñyate):外的状況や感情の波に反応せず、平静である。
  • 活動するのみ(guṇā vartante):行為や変化は性質(グナ)の働きであり、“自分”が動かしているのではないという理解。
  • 安住して(avasthitaḥ):深い精神的安定。軸が内側にあること。
  • 動かない(na calati):状況に応じて揺れず、反応的にならず、本質的に立脚する。

■全体の現代語訳(まとめ)

グナ(三つの性質)を超えた人は、
中立者のように沈着冷静であり、外的な性質の働きに心を乱されることはない。
何が起ころうと、それは「自然の性質が活動しているだけ」と理解しており、
自身は静かな安定の中にとどまり、動じることがない。


■解釈と現代的意義

この節は、「心の観察者」として生きることの力を明確に示しています。

  • 「うれしい」「くやしい」「焦る」「怠けたい」――
    私たちは日々の中で、内側から起こるこれらの感情に支配されがちです。

しかし、それは「グナの働き」にすぎず、
それをただ観察する“中立的な意識”を育てたとき、
人はどんな嵐の中でも安らぎを保てるのです。

これは傍観ではなく、観照です。
つまり、逃げるのでもなく、巻き込まれるのでもなく、
ただ事実を静かに見つめ、反応せずに対応する智慧のことです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
内面の中立性=冷静な判断力焦り、怒り、喜びに左右されず、感情が揺れ動くときも「今はそういう状態だ」と観察することで、ミスや衝動的決断を防げる。
意思決定の安定性利害や損得に過剰反応せず、静かに本質を見極める判断ができる人は、信頼される。
チームの“嵐”の中でも不動である社内の混乱や対立の中で動揺せず、「グナが働いているだけ」と捉え、冷静に場を導けるリーダーは貴重。
メンタル持久力の育成どんなに状況が変化しても、自分の心に軸がある人は、長期にわたり安定してパフォーマンスを出し続けられる。

■心得まとめ

「揺れる世界の中で、揺れない心を持て」
純質が来ても、喜ばず。
激質が来ても、焦らず。
暗質が来ても、責めず。

それらはただ「通過するエネルギー」にすぎない。
私は、ただそれを見つめる“静かな目”で在る。
この安らぎの中にこそ、真の行動力と影響力が宿る。

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