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人は自らの性質に縛られる、ゆえにそれを識る者たれ

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■引用原文(日本語訳)

「純質、激質、暗質という、プラクリティ(根本原質)から生ずる諸要素は、不変の主体(個我)を身体において束縛する。」
(第14章 第5節)


■逐語訳

純質(サットヴァ)、激質(ラジャス)、暗質(タマス)という三つの性質は、すべて自然(プラクリティ)から生じたものであり、それらは本来変化しない自己(アートマン/個我)を、肉体において束縛するのである。


■用語解説

  • プラクリティ(prakṛti):万物の根本的な性質や原質。物質界・自然そのもの。
  • 純質(sattva):光明・調和・知識・清らかさ・平静を表す要素。
  • 激質(rajas):行動・欲望・情熱・変化・衝動性を表す要素。
  • 暗質(tamas):無知・惰性・怠惰・混乱・鈍重を表す要素。
  • 個我(ātman):永遠・不滅・純粋な本質としての自己。
  • 束縛(badhnāti):本来自由な存在が、行動・性格・感情などによって制限されること。

■全体の現代語訳(まとめ)

この世界のすべての存在は、純質・激質・暗質という三つの自然の性質から成り立っており、本来は自由な魂(自己)であっても、それらの性質に染まり、肉体を通して縛られている。つまり、私たちは「自分の性格・傾向」によって、自らの自由を見失っているのだ。


■解釈と現代的意義

この節は、私たちの思考や行動が単に“自分の意思”によって生まれているのではなく、「性質(グナ)」によって左右されていることを明らかにしています。人間の内面には、生まれ持った傾向・感情のクセがあり、それを知らずにいると、いつまでも同じ反応・苦悩を繰り返します。ゆえに、真の自由とは、これらの「内なる性質を識ること」から始まるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
自己理解の重要性自分の中にある「サットヴァ(調和)」「ラジャス(衝動)」「タマス(怠惰)」の傾向を知ることで、感情的反応ではなく、意識的選択ができるようになる。
人材育成部下の性質を見極め、育成アプローチを変える。「知的な人」には挑戦を、「情熱型」には方向性を、「無気力型」には刺激と意味づけを。
組織文化形成組織内のグナ(性質)のバランスが偏ると、混乱や過労、停滞が生まれる。純質的文化=透明性・誠実・持続性が整うと、組織が健全に成長する。
リーダーの自己統制激質(焦り・強制)や暗質(放置・怠慢)に振り回されず、純質(明晰・冷静)に立脚して判断できることが、信頼される統率力の根幹となる。

■心得まとめ

「性質を知ることは、自己を解放する第一歩」
私たちは気づかぬうちに、自分の中の“傾向”によって人生を縛られている。成功も失敗も、その根は外ではなく内にある。真のリーダーとは、自らの性質を見極め、内なる自由を取り戻した者である。

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