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報いを求めぬ施しに、真の徳が宿る


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■引用原文(日本語訳)

「与えらるべきだと考えて、見返りが期待できぬ相手に、場所と時間と受者が適切な場合に与えられる布施は、純質的な布施と伝えられる。」
――『バガヴァッド・ギーター』第17章 第20節


■逐語訳

「これは与えるべきものである」と理解し、
報酬や見返りを期待することなく、
正しい場所・正しい時間・ふさわしい相手に、
適切に与えられた布施(ダーナ)は、
純質的(サットヴァ)な布施であるとされる。


■用語解説

  • 与えらるべきだと考えて(ダーヴィヤム・イティ):義務感または善意から自然に行う行為。
  • 見返りが期待できぬ相手(アナーパカリーネ):恩を返してくれる可能性のない人。社会的弱者や匿名の受益者など。
  • 場所と時間(デーシャ・カーレ):適切な場所・状況・時期を見極めた上での行為。
  • 受者が適切(パートレ):善良で、施しを受けるにふさわしい人物。
  • 純質的(サットヴァ)な布施:清らかで無私、誠実に動機づけられた利他行為。

■全体の現代語訳(まとめ)

「これは与えるべきだ」という内なる判断に基づき、見返りを期待せず、
しかるべき場所と時、ふさわしい相手に誠実に与えられる施し――
それが純質的な布施であり、最も徳のある与え方である。


■解釈と現代的意義

この節は、「与える」という行為の中にも、心の質が問われていることを明示しています。
見返りを求めない布施こそが、本当に魂を清める善行であり、それは見えない徳として自身の内に蓄積されるとされます。
慈善や支援であっても、名声・返礼・義理などの期待が動機となっていれば、それは“純質”ではないのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
CSRや寄付活動の在り方社会貢献は見返りやイメージアップのためではなく、「果たすべき責任」として行われるべき。
部下・同僚への支援自分に返ってくるかどうかを考えるのではなく、必要と感じたときに手を差し伸べることが信頼を築く本質。
人材育成教えたことが自分の評価につながるかを気にせず、相手の成長を願って与えることが、健全な育成文化をつくる。
顧客対応見返りの期待を超えて「本当にその人の役に立つことをする」姿勢が、ブランド価値の本質につながる。

■心得まとめ

「無私の施しこそ、真の徳である」
布施とは、物を与えること以上に、心の質を映す行為である。
見返りを求めず、義務感と誠意から自然に行う施しには、静かで深い力が宿る。
ビジネスにおいても、「徳としての支援」こそが、長期的な信頼と人間関係の基礎となる。


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