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■引用原文(日本語訳)
それ故、なすべきこととなすべきでないことを決定する場合に、教典はあなたの典拠である。教典の教令に説かれた行為を知って、あなたはこの世で行為をなすべきである。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第24節)
■逐語訳(一文ずつ)
- それゆえに(タスマート)、
- 何をすべきか(カルマ)、
- **何をすべきでないか(アカルマ)**を判断するにあたって、
- 教典(シャーストラ)こそが、あなたの根拠・基準(プラマーナ)である。
- したがって、教典に説かれた行為の意味を理解した上で、
- あなたはこの世界において**正しい行為(カルマ)**をすべきである。
■用語解説
- 教典(シャーストラ):人生・行為・心の成長の原理を説く知恵の書。ここでは特にヴェーダやギーター、ヨーガの倫理指針を指す。
- なすべきこと(カルマ):義務・徳・本分にかなった行為。魂を清める行動。
- なすべきでないこと(アカルマ):避けるべき行為。執着・破壊・無知に基づく行動。
- 典拠(プラマーナ):判断・行動の根拠、指針となるもの。
■全体の現代語訳(まとめ)
だからこそ、何をすべきか、すべきでないかを判断するには、教典の教えに従うべきだ。教典に書かれた行為の意味と目的を理解したうえで、この世において正しく行動せよ――それが神(クリシュナ)の勧めである。
■解釈と現代的意義
この節は、実践への明確なガイドラインを与えている。
「善悪の基準が揺らぐ現代」において、何を判断のよりどころにすべきか――その答えが「教えに学ぶこと」である。
ギーターは、自己流や感情的判断ではなく、普遍的な原理・知恵に基づいた行動こそが、人を成長と幸福に導くと説いている。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 教訓と実践例 |
---|---|
意思決定の指針 | 「何が得か」ではなく、「何が正しいか」を判断するには、原理・哲学・倫理に学ぶ必要がある。 |
企業理念の役割 | ミッションや行動規範は「教典」に相当する。ブレたときほど、そこに立ち返ることが必要。 |
リーダーシップ | 判断に迷ったとき、先人の教えや高い原理に基づいて決断することが、真のリーダーを形づくる。 |
継続的学び | 教えを読み、考え、体得し続ける姿勢が、ぶれない軸と持続可能な行動力をもたらす。 |
■心得まとめ
「正しい行為は、正しい学びから始まる」
人は迷い、誤る。だが、そのたびに知恵に立ち返り、行いを正せる者が、真に自由な魂である。
ギーターは語る――自己流で生きるな、教えに学べ。そして、理解を深めたうえで、確信を持って行動せよ。
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