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欲望に囚われし心は、迷いの果てに堕ちてゆく

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■引用原文(日本語訳)

彼らは様々に心迷い、迷妄の網に覆われ、欲望の享受に執着して、不浄の地獄に堕ちる。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第16節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 彼ら(阿修羅的な者たち)は、
  • 多様な妄念に心をかき乱され(アネカ・チッタ・ヴィブランタハ)、
  • 迷妄の網(モーハ・ジャーラ)にとらわれ、
  • 欲望の快楽(カーマ・ボーガ)に強く執着し、
  • やがて不浄なる地獄(アシュウチ・ナラカ)に堕ちてゆく

■用語解説

  • 心迷い(ヴィブランタ):多くの願望・思惑・価値観に引き裂かれて集中できない心の状態。
  • 迷妄の網(モーハ・ジャーラ):誤解・自己欺瞞・幻想など、真理から遠ざける複合的な迷い。
  • 欲望の享受(カーマ・ボーガ):感覚的・物質的な快楽の追求。
  • 不浄の地獄(アシュウチ・ナラカ):魂が穢れ、内的に堕落した状態。必ずしも死後の世界ではなく「生きながらの地獄」も含意する。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的性質を持つ者は、多様な欲望に心をかき乱され、幻想や誤解に満ちた考えに包まれる。そして快楽への執着を手放すことができず、その結果、魂は穢れ、深い苦しみと混乱の世界(精神的地獄)へと堕ちていく――とバガヴァーン・クリシュナは語る。

■解釈と現代的意義

この節は、「迷いと執着の果てにある破滅」を描いている。現代でも、情報過多・価値観の多様化・目標の複雑化により、人々の心はしばしば混乱する。その結果、快楽や所有といった分かりやすい目標に執着し、内なる秩序と清らかさを失ってしまう。ギーターは、外的成功や刺激ではなく、内なる明晰さこそが魂の浄化をもたらすと警告している。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点教訓と警告
戦略の錯綜と疲弊あれもこれもと多方面に手を出すと、組織や個人の集中力が失われ、迷走状態に陥る。
快楽・報酬依存給与や評価といった「報酬」だけをモチベーションとすると、行動の純粋性が失われる。
文化の堕落「何が正しいか」よりも「何が儲かるか」に価値基準を置く文化は、やがて内的な崩壊を迎える。
精神的地獄の兆候成果があっても不安・焦燥・怒りに支配されるなら、それは外的成功の裏にある“地獄”かもしれない。

■心得まとめ

「多くを求める心は、迷いを増やし、魂を曇らせる」

快楽と欲望にしがみつく心は、常に外に解を求め続け、真の平安を知らぬままに苦しむ。
ギーターは告げる――清らかさを失った心は、地獄のような混乱と苦しみの中に沈んでゆく
だからこそ、私たちは「何を得るか」ではなく、「どう在るか」に焦点を戻す必要がある。

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