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支配・享楽・誇示の言葉は、心の堕落の表れである

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■引用原文(日本語訳)

「私はあの敵を倒した。他の敵も倒してやろう。私は支配者である。享受者である。私は成功し、有力者で、幸福である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第14節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 「私はあの敵を倒した」
  • 「次は他の敵も倒してやろう」
  • 「私は支配者であり、享楽の主体である」
  • 「私は成功者であり、力ある者であり、幸福な者である」

■用語解説

  • 敵を倒した(ハタワー・アリム):競争相手・障害者を排除してきたという戦果の誇示。
  • 支配者(イーシュヴァラ):自分がすべてをコントロールしているという誤認。
  • 享受者(ボークター):自分が快楽・成果の唯一の享受者であると信じる傲慢な態度。
  • 成功・有力・幸福(シッディ、バリヤス、スキ):外的評価(成果・権力・快楽)に基づいた自己認識。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的な人物は、「あの敵を打ち負かした、次も打ち倒す」「自分は支配し、楽しみ、成功し、力を持ち、幸福である」と考えている。彼はすべてを自分の力によって支配していると思い込み、誇示的で自己中心的な人生観に浸っている。


■解釈と現代的意義

この節は、誇大な自己認識と征服願望の危うさを明確に描いている。
現代社会でも、「競合に勝った」「市場を制覇した」「自分は勝者だ」という思考に溺れることで、謙虚さや倫理、他者との協調性を見失う危険がある。ギーターは、こうした誇示的思考の裏にある「精神的堕落」に警鐘を鳴らしている。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点警鐘と教訓
競争偏重の罠「あの会社に勝った」「シェアを奪った」と勝ち負けにこだわりすぎると、長期的視野や倫理が失われる。
成功の誇示成果を得たことで「自分こそが支配者・成功者だ」と思うと、周囲の声が届かなくなる。
リーダーシップの危険性「俺が勝たせた」「俺が楽しむ」というリーダーは、やがて組織の信頼を失う。
幸せの錯覚権力・富・勝利=幸福と誤認すると、心の安定・人間関係・内面の充足が蔑ろにされる。

■心得まとめ

「勝利に酔う者は、真の幸福を見失う」

「敵に勝った」「これからも勝てる」「自分は成功者だ」――その声が強くなるほど、心は静寂から遠ざかっていく。
ギーターは語る――支配・享楽・誇示の言葉を繰り返す者は、やがてその言葉に縛られ、内なる平和を失う
真の幸福は「勝ち取る」ものではなく、「内に見出す」ものである。


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