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すべてを“自分のもの”とする心が、破滅の種を育てる

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■引用原文(日本語訳)

「私は今日これを得た。私はこの願望を達成するであろう。この財産は私のものだ。この財産もまた私のものとなろう。」
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第13節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 「私は今日、これを手に入れた(得た)」
  • 「次はこの望みを叶えるだろう」
  • 「今ある財産はすでに自分のものだ」
  • 「これから手にする財産もまた、自分のものとなるだろう」

■用語解説

  • 「私は得た」(アダヤム・マヤー・ラブダム):自己の力で成功したと過信し、過去の成果を自己所有とみなす態度。
  • 「この願望を達成する」(イーダム・プスィエ・マナラタム):未来に対しても「すでに自分の意のまま」と錯覚する思考。
  • 財産は私のもの(アスティー・メー):すべてを自己中心に所有・支配する傲慢な価値観。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的な人間は、「私は今日これを手に入れた、明日にはこれを得るだろう」と、あたかもすべてを自己の手で支配し、掌握しているかのように考える。

彼らは財産を自分のものとみなし、未来の富さえも当然のように自分のものになると信じて疑わない。

■解釈と現代的意義

この節は、自己中心的所有欲と誇大妄想的成功観を鋭く暴いている。

現代においても、「これだけ成功した」「次はあれを手に入れる」と、人生や他者をまるで自分の所有物のように考える傲慢な思考に陥ることがある。

しかしそれは、感謝や謙虚さを忘れ、やがて社会との調和を失わせる原因となる。ギーターは、こうした誇大な独占意識の危険性を警告している。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点警鐘と教訓
経営者の慢心「これは自分が成し遂げた」「次も当然成功する」と過信し始めると、現場や市場の声を無視するようになる。
所有欲の暴走「この取引先も、あの市場も、自分のものになる」と思うと、不正な拡大や買収に手を出しやすくなる。
組織内での自己中心性成果を「自分の手柄」としか見ないマネージャーは、チームの信頼を損なう。
過信による失敗未来の成功を「当然のように想定する」思考は、柔軟性や危機管理力を奪う。

■心得まとめ

「手に入れたときこそ、謙虚さを忘れるな」

「私は得た」「私は得るであろう」――この言葉には、感謝も謙虚もない。
すべてを自己の力とみなすとき、人は他者を軽んじ、真理から離れていく。
ギーターは語る――所有の欲が心を曇らせ、やがて人は、自分の中の破滅に気づかなくなる
だからこそ、成果においても未来においても、謙虚さと感謝を忘れてはならない。

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