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欲と怒りに縛られた心は、手段を選ばず破滅へ向かう

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■引用原文(日本語訳)

彼らは幾百の希望の罠に縛られ、欲望と怒りに没頭し、欲望を享受するために、不正な手段によって富を蓄積しようと望む。
(『バガヴァッド・ギーター』第16章 第12節)

■逐語訳(一文ずつ)

  • 彼ら(阿修羅的な者たち)は、
  • 数え切れないほどの希望(欲望の計画)に縛られ、
  • 欲望(カーマ)と怒り(クローダ)に心を奪われ、
  • 快楽の享受を目的として、
  • 不正な手段(アダルマナ)で富を集めようとする。

■用語解説

  • 希望の罠(アーシャー・パーシャ):尽きることのない期待・願望に縛られた状態。「○○さえあれば幸せになれる」という執着の連鎖。
  • 欲望と怒り(カーマとクローダ):ギーターで繰り返し登場する「魂を堕落させる二大原因」。
  • 不正な手段(アダルマ):道徳・法・良識を無視した行為。詐欺・搾取・虚偽などを含む。
  • 富の蓄積(ダナ・サンチヤナ):本来、正しい手段と目的であれば否定されないが、ここでは「執着と誤った価値観」によるもの。

■全体の現代語訳(まとめ)

阿修羅的な性質を持つ者は、無数の期待と計画に心を囚われ、欲望と怒りに支配されている。そして、そうした感情に突き動かされるまま、不正な手段を用いてでも富を得て、快楽を追求しようとする――とクリシュナは説いている。

■解釈と現代的意義

この節は、「欲望 → 怒り → 不正」の因果連鎖を明示している。
現代においても、「もっと欲しい」「なぜ得られない」「手段を選んでいられない」という心理は、やがて倫理を踏み越える行動につながる。ギーターは、「望みの罠」に気づかずにいると、心が腐り、社会の信頼構造すら壊すことになると警告する。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点ビジネスへの警告と活用
終わりなき目標設定数字ばかり追い続ける経営は、社員を「達成すれば満たされる」という幻想の連鎖に閉じ込める。
怒りによる判断欲望が阻まれると怒りが生じ、その怒りが短絡的・攻撃的な意思決定を招く。
不正行為の動機「目的のためなら手段は問わない」という思想が、粉飾決算・パワハラ・環境破壊などの温床となる。
持続的成長の敵一時的な欲望と怒りを原動力にした行動は、短期成果を得ても、長期的信頼と持続可能性を損なう。

■心得まとめ

「欲と怒りの果てに正しさを見失えば、すべてを失う」

欲望が膨らみ、それが満たされない怒りに変わると、人は簡単に「正しさの線」を越える。
ギーターは語る――欲望の連鎖に気づかぬ者は、己の魂だけでなく、社会をも傷つける。
だからこそ、私たちは「何を求めるか」よりも、「どう求めるか」を大切にすべきである。

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