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引用原文(日本語訳)
迷妄なく、このように私を至高のプルシャと知る人は、
一切を知り、全身全霊で私を信愛するのである。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第19節)
逐語訳
このように私(バガヴァーン)を、
迷いなく、至高の存在(プルショーッタマ)として知る者は、
あらゆることを真に知っている者であり、
その人は全存在をかけて私を愛し、信じ、帰依する。
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
迷妄なく(アモーハ) | 無知・錯覚・執着にとらわれず、明晰な知識をもって。 |
至高のプルシャ | 可滅・不滅を超える根源的存在。全知全能であり、宇宙の本質を統べる意識。 |
一切を知る(サルヴァヴィット) | 理論や情報ではなく、本質・根源に立脚した「真の智慧」に達していること。 |
全身全霊(サルヴァブーヴェーナ) | 全意識・全行為・全存在をもって、という完全なる没入・献身の状態。 |
信愛する(バジャティ) | 単なる信仰を超えた、愛と一致と帰依の心。行為を通じた真のつながり。 |
全体現代語訳(まとめ)
迷いを離れ、私が至高の存在であることを正しく理解した人は、
本当にすべてを知っている者である。
その人は、自分のすべてをもって、私を深く信じ、愛し、捧げる。
知識の終わりは行動に至り、行動は愛に昇華する。
解釈と現代的意義
この節は、「本当の理解は、迷いを離れた愛と献身に結びつく」という非常に重要な霊的原則を説いています。
知識や理屈は、それだけでは不完全です。
迷いなく、真に本質(至高の存在)を理解した者は、
必然的にその対象を信頼し、愛し、仕えるようになるという、
知と信と行の一致を体現することになります。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
本質理解と情熱の一致 | 経営理念や使命の本質を理解すれば、自然とそこに「全身全霊」で取り組む力が湧いてくる。 |
表面的理解と深い信念の差 | 単に制度や方針を知るのではなく、「なぜこれがあるのか」を腑に落とした人は、ぶれずに動ける。 |
本質を知るリーダーシップ | リーダーは原理・原則を知る者であり、それに迷わず従い、周囲を巻き込んで献身する姿勢を示すべき。 |
信頼と行動の統合 | 真に信頼された存在(理念・上司・組織)は、知識だけでなく「全身全霊の信頼」によって人を動かす。 |
心得まとめ
「迷いが消えるとき、人は自ずと力を尽くす」
本質を知れば、迷いは消える。
迷いがなくなれば、行動にブレはなくなる。
そして、真に信頼できるものに出会ったとき、
人は理屈ではなく、全身全霊をかけて応えようとする。
ビジネスにおいても、本質を知り、心から信じられる軸を持つことが、
最高の集中力と持続力を生むのである。
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