目次
引用原文(日本語訳)
また私は、大地に入って、威力により万物を支持する。
また、液汁(甘露)よりなるソーマとなって、すべての植物を育てる。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第13節)
逐語訳
私は(神)は、大地そのものに入り込み、
私の力によって、すべての存在を支えている。
さらに私は、甘露のような生命の液(ソーマ)となって、
すべての植物を育てている。
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
大地に入る | 神の力が物質的な自然に内在し、世界のあらゆるものを支えていること。 |
威力(オージャス) | 精神的・霊的・物質的な活力。神の根源的な支えの力。 |
ソーマ | 神聖な飲料、甘露。ヴェーダ時代には神々に捧げる不死の液として象徴された。ここでは「命を育む本質的な力」の象徴。 |
植物を育てる | 命を与え、育成し、循環させる自然の根源力のこと。 |
全体現代語訳(まとめ)
私は、物質的な世界である大地の内側に働きかけ、
目には見えない力によって、万物を支えている。
また私は命の液(ソーマ)となって、植物の中に入り、
すべての生命の成長と繁栄を促している。
解釈と現代的意義
この節は、「自然界の背後にも、神の力が内在して働いている」ことを語っています。
木が育ち、草が芽吹き、果実が実る――
それらの現象も偶然ではなく、目に見えない法則と力によって支えられている。
私たちも日々の営みを「自分の力だけで行っている」と錯覚しがちですが、
その背後には、環境・人間関係・大地・空気・時間といった「支える力」が常にあるのです。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
インフラへの敬意 | 成果は、目に見える活動(営業・企画)だけでなく、目立たない支え(物流・管理・制度)によって成立している。 |
成長の根本を見る力 | 個人や事業の成長を、表面的成果ではなく、「何がその成長を支え、育てているのか」を見極める視点が重要。 |
感謝と謙虚さ | 自分一人の力ではなく、自然・組織・人々の力に支えられて生きているという認識が、持続的な信頼を生む。 |
育成マネジメント | 部下や若手を育てる際にも、結果に焦点を当てるのではなく、「育つ環境づくり=ソーマ」を設計する意識が必要。 |
心得まとめ
「育てているのは、目に見えない力である」
土があり、水があり、太陽があり――
植物は自ら育っているように見えるが、
そこには無数の支えが働いている。
ビジネスにおいても同じ。
成果の裏には、名もなき力が存在している。
それに気づく者こそ、真に強く、しなやかな成長を遂げるのである。
コメント