目次
引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
その枝は要素に養われて、下方にまた上方に拡がり、〔感官の〕対象を芽とする。
根は下方に伸張し、人間界における行為に帰結する。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第2節)
逐語訳
この樹の枝は、三つの要素(グナ)によって養われ、下にも上にも広がっていく。
それは感官の対象を新たな芽とし、根は下方へと延び、現世における人間の行為へとつながっていく。
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
要素(グナ) | 自然界・人間界を構成する三要素:サットヴァ(純性)、ラジャス(激性)、タマス(暗性) |
感官の対象 | 見る・聞く・触れるなど五感で捉える外的対象。欲望の対象ともなる |
芽(つぼみ) | 枝葉の先に新しく出てくる部分。新たな欲求や執着の象徴 |
根 | 行為の根源である欲望や無明(無知) |
人間界における行為 | 業(カルマ)。選択や判断、あらゆる行為が現実世界で展開される |
全体現代語訳(まとめ)
この世界樹の枝葉は、三つのグナという性質によって育まれ、欲望や感官への刺激を新たな「芽」として生み出し続ける。その根は深く現実に広がり、私たちの行為へとつながっていく。
つまり、人間のあらゆる行動は、感覚・欲望・性質によって導かれた結果であるということが示されている。
解釈と現代的意義
この節は、「私たちの行動はすべて、内的性質と外的刺激の結果である」という因果の構造を明らかにしています。
目の前の行為は単発的に生まれるものではなく、「性質→感官刺激→欲求→行為」という連鎖の中にある。
この構造を理解することは、自分自身を知り、望まぬ行動パターンを断ち切る鍵となります。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
無意識の習慣に気づく | 結果や行動に一喜一憂するのではなく、その背後にある「性質」や「習慣的思考」に注目し、改善を図る |
感情・欲望との距離感 | 感官的な刺激(SNS、評価、他人の視線)に反応的になるのではなく、意識的な行動選択を心がける |
マネジメントへの応用 | チームメンバーの行動もまた、育った環境や内面の性質に左右されることを理解し、対話や育成のあり方を見直す |
商品・マーケティング戦略 | 人間の行動を引き起こす「刺激→欲望→行動」の流れを理解することで、より倫理的かつ効果的なサービス設計ができる |
心得まとめ
「行為の背後に、欲望があり、欲望の背後に性質がある」
枝葉を見て騒ぐのではなく、その根源に目を向けることが、
本質的な成長と自由をもたらす。
ビジネスの世界でも、自他の行動を表面的に捉えるのではなく、
その背後にある性質・欲望・刺激の連鎖を理解することで、
より成熟した意思決定と行動が可能になる。
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