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【2-70】 欲望と満足の境地

目次

◆第2章 第70節による心得

●原文引用

「海に水が流れこむ時、海は満たされつつも不動の状態を保つ。同様に、あらゆる欲望が彼の中に入るが、彼は寂静(じゃくじょう)に達する。欲望を求める者はそれに達しない。」(第2章 第70節)


●逐語訳

  • 海に水が流れこむ時:川が海に流れ込んでも、
  • 海は満たされつつも不動である:その広さと深さゆえに、動揺せず静かである。
  • 同様に:それと同じように、
  • あらゆる欲望が彼の中に入るが:外界から多くの欲望がやってきても、
  • 彼は寂静に達する:内面の平安を失わず、動じない。
  • 欲望を求める者はそれに達しない:逆に、欲望を追いかける者は平安を得られない。

●用語解説

  • 海(サムドラ):広大で静かな心の象徴。
  • 欲望(カーマ):得たいという感情の対象全般。
  • 寂静(シャーンティ):動じない心、揺るがない平安。
  • 不動:外的な変化に反応しない安定状態。

●全体現代語訳

川が海に流れ込んでも海が動揺せず静けさを保つように、あらゆる欲望が流れ込んでも揺れ動かず、平安を保つ者は真の静寂に達している。だが、欲望を追いかける人はその静けさに至ることはできない。


●解釈と現代的意義

この節は、「受け入れながらも動じない心」を理想とする比喩的表現です。
欲望そのものを否定するのではなく、それに心を奪われず、静かに包み込むような在り方を説いています。
ビジネスでいえば、日々のプレッシャーや誘惑を前にしながら、自己を見失わずに持ち場を守るリーダー像に通じます。


●ビジネスへの応用

ビジネス状況応用ポイント
顧客の要望や市場の刺激多くの要求や変化の中でも、原則を保ち冷静に判断する。
成功・失敗の波成果や損失に一喜一憂せず、全体を見渡して安定した行動をとる。
キャリアや報酬欲に振り回されず、自らの価値観や使命に基づく選択をする。

●ビジネス心得タイトル

「動かずに受け入れる、真の強さ」


この節の「海の比喩」は、『バガヴァッド・ギーター』の中でも特に有名な象徴の一つです。外界に左右されない内面の静けさという理想像を、美しく描いています。

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