目次
◆第2章 第69節による心得
●原文引用
「万物の夜において、自己を制する聖者は目覚める。万物が目覚める時、それは見つつある聖者の夜である。」(第2章 第69節)
●逐語訳
- 万物の夜において:世の人々が無意識に眠っている(価値を見出せない)時に、
- 自己を制する聖者は目覚める:自己を律した賢者は、そこに目覚めた知性を持っている。
- 万物が目覚める時:世の人々が活動し、価値あると考える時に、
- それは見つつある聖者の夜である:賢者にとってはむしろ無価値なもの、目を閉じるべき対象である。
●用語解説
- 万物の夜:一般の人々が理解できない沈黙・静寂・無欲の境地。
- 目覚める(ジャーガルティ):知的に覚醒する、真理に気づくこと。
- 聖者(ムニ):沈黙の人=語らず、内省と自己統御を実践する人。
- 夜と昼の逆転:世俗の価値観と覚者(かくしゃ)の価値観が反転している比喩。
●全体現代語訳
世の中の人々が関心を持たず見過ごしているとき、自己を律した賢者は目覚めている。逆に、人々が熱心に活動している時、それは賢者にとっては沈黙と内省の夜である。
●解釈と現代的意義
この節は、真に目覚めた人と、世俗の人との価値観の逆転を鮮やかに表しています。
賢者にとっての「目覚め」は、世の中の騒がしさや欲望の外にある静けさであり、
世間が価値を置く「富・名声・快楽」は、賢者にはむしろ「無明(くらやみ)」なのです。
これは、現代の「独自性あるリーダーシップ」や「逆張りの発想」「本質思考」の重要性にも通じます。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
流行に乗らない判断 | 世の中が注目しない領域に価値を見出す力こそ、先見性の源。 |
長期的投資・事業創造 | 一般に理解されにくいが本質的なテーマにこそ集中する。 |
静かな仕事の価値 | 目立たないが重要な改善や仕組みづくりの意義を理解する。 |
●ビジネス心得タイトル
「世が眠る時、真の目覚めが始まる」
この節はとりわけ象徴的で、「本質を見抜く人は、群衆と異なる時に動く」という洞察を含んでいます。
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