MENU

聖王に師あり、凡人に師なくして何をなせようか

――補導役なき政治は、王道たり得ぬ

太宗は、自らの至らなさを認めたうえで、聖王たちに必ず師がいたことを挙げ、三師(太師・太傅・太保)の制度を律令に明記すべきだと詔した。
黄帝、堯、舜、禹、湯、文王、武王――
名君の誉れを受けた彼らでさえ、賢き師に学んではじめて功績を天下に示すことができた。

太宗はこう問う。
「聖人ですら師を持っていたのに、後代に生まれた私が、どうして師を持たずして万民を治められようか」と。

道を学ばずして、道を明らかにすることはできない。
法に則り、制度として三師を置く――それは自己研鑽にとどまらず、後世の太子たちにも王道を学ばせるための礎でもある。


引用とふりがな(代表)

「詩(し)に云(い)わく、『愆(あやま)らず、忘(わす)れず、旧章(きゅうしょう)に由(よ)る』」
――古の模範に従えば、誤りもなく徳を失わない

「聖王(せいおう)すら師(し)を欠(か)かざれば名(な)は伝(つた)わらず、功(こう)は世にあらわれず」
――師を得てこそ、政治は光を放つ


注釈(簡略)

  • 三師(さんし):太師(たいし)、太傅(たいふ)、太保(たいほ)の三役。主に天子・太子の教育・補佐を担う高位の官職。
  • 黄帝・堯・舜・禹など:中国古代の伝説的な帝王たち。いずれも師に学び、王道を成したとされる。
  • 『詩経』(しきょう):「不愆不忘、率由舊章」は、大雅「仮楽」篇からの引用。学びと継承の重要性を説く。
  • 王道(おうどう):仁義礼智信によって治める理想の政治。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次