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甘やかされた心は、欲望の火となって他人か自分を焼き尽くす

裕福な家、権力ある家に生まれ育つと、
どうしても他人に甘やかされ、わがままな性格になりやすい。

そのような環境で育った人の欲望は、抑えきれぬ**猛火(もうか)のように激しく、
また、権力を欲する心は、燃えさかる
烈焔(れつえん)**のように強くなる。

このような心の火を少しでも冷まそうとする自制の気持ち、
つまり「清冷(せいれい)の気味」――冷静さや謙虚さ――を
意識して身につけておかないと、
やがてその炎は、他人を焼き尽くすか、
最悪の場合、自分自身を焼き滅ぼすことになる。

だからこそ、地位や富に恵まれた者ほど、
自分を律する冷静な視点が不可欠であり、
それがなければ、成功も環境も、すべて「破滅の火種」となってしまうのだ。


原文とふりがな付き引用

富貴(ふうき)の叢中(そうちゅう)に生長(せいちょう)する的(もの)は、
嗜欲(しよく)は猛火(もうか)の如(ごと)く、権勢(けんせい)は烈焔(れつえん)に似(に)たり。
若(も)し些(いささ)かの清冷(せいれい)の気味(きみ)を帯(お)びざれば、
其(そ)の火焔(かえん)は人(ひと)を焚(や)くに至(いた)らざれば、
必(かなら)ず将(まさ)に自(みずか)ら爍(や)かんとす。


注釈(簡潔に)

  • 富貴の叢中(ふうきのそうちゅう):裕福で恵まれた家庭や環境。
  • 嗜欲(しよく):欲望、特に快楽・贅沢への執着。
  • 猛火(もうか)・烈焔(れつえん):制御できないほど強い情念や野心のたとえ。
  • 清冷の気味(せいれいのきみ):冷静さ、謙虚さ、自制心。
  • 自ら爍く(やく):自滅する、自分自身を焼き尽くす。

パーマリンク案(英語スラッグ)

unchecked-privilege-burns-from-within
「抑えられぬ特権意識は内から燃え尽きる」という教訓を表したスラッグです。

その他の案:

  • cool-the-fire-of-ego
  • privilege-needs-discipline
  • wealth-without-wisdom-destroys

この章は、「恵まれた環境にある者こそ、自らを制御する力が必要だ」という深い戒めです。
物質的な豊かさや社会的地位は、それ自体に善悪はありませんが、
それを扱う“内面の力”が伴わなければ、必ず破綻を招くという真理が描かれています。

まさに「育ちのよさ」とは、贅沢に慣れることではなく、
豊かさに飲まれない心を育むことだと言えるでしょう。

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