人からの恩恵や利得を受けるときは、慎みを持ち、
他人より先に出るような態度は慎むべきである。
しかし、徳を積み、善い行いをする場面では、
人より後れをとってはならない。
享受するものには分相応の節度を守り、
自分を鍛え成長させることについては、むしろ限界を引き下げてはならない。
控えめさと向上心、この両輪が人格を高めていく。
「寵利(ちょうり)は人前(ひとまえ)に居(お)ること毋(なか)れ。
德業(とくぎょう)は人後(ひとうし)に落(お)つること毋かれ。
受享(じゅきょう)は分外(ぶんがい)に踰(こ)ゆること毋かれ。
修為(しゅうい)は分中(ぶんちゅう)に減(げん)ずること毋かれ。」
注釈:
- 寵利(ちょうり)…名誉・報酬・利益など、人から与えられる恩恵や得。
- 人前に居る(ひとまえにおる)…他人より先に出て自己主張すること。出しゃばること。
- 德業(とくぎょう)…徳を積むこと、善行・奉仕・学びの努力。
- 人後に落つる(ひとうしにおつる)…人より遅れをとること。努力を怠るさま。
- 受享(じゅきょう)…物や恩恵を享受すること。利益を受ける。
- 分外(ぶんがい)…身の程を超えること。過剰な欲望。
- 修為(しゅうい)…自分を修めること。修行・自己向上。
- 分中に減ず(ぶんちゅうにげんず)…本来すべき努力を減らすこと。自分を甘やかすこと。
コメント