人生を生きている間は、心を狭くせず、できる限り広く開いておくことが大切である。
そうすることで、人々が不満や不平を口にすることなく、穏やかに過ごせる環境を生み出せる。
そして、自分がこの世を去ったあとにも、心の恵みや影響が長く流れ続けるような生き方をしたい。
それが、人々の心をいつまでも豊かに潤す「不匱(ふき)」の遺産となるのだ。
生きているときも、去ったあとも、人の心に恵みを与え続ける――それこそが、最高の人生である。
「面前(めんぜん)の田地(でんち)は、放(はな)ち得(う)て寛(ひろ)くして、
人(ひと)をして不平(ふへい)の歎(なげ)き無(な)からしむるを要(よう)す。
身後(しんご)の恵沢(けいたく)は、流(なが)し得て長(なが)くして、
人をして不匱(ふき)の思(おも)い有(あ)らしむるを要す。」
注釈:
- 面前の田地(めんぜんのでんち)…生前の心がまえ。人との接し方や心の広さのこと。
- 放ち得て寛くして(はなちえてひろくして)…心を広く、寛容に構えること。独善や排他を避ける姿勢。
- 身後(しんご)…死後。人生を終えたあとの影響や残したもの。
- 恵沢(けいたく)…人々に与えた恩恵、心の財産。
- 不匱(ふき)…尽きることがない。精神的に豊かで、満たされている状態。
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