嵐の中では、鳥でさえ怯えて縮こまっている。
晴れた日、やさしい風が吹けば、草木も生命力にあふれて喜びに満ちている。
このように、天地自然のあいだにも、常に「和らぎ」が必要なのと同じように、
人の心にも、毎日欠かさず「喜び」と「楽しさ」が宿っていなければならない。
天気のように、心も晴れやかであることが、健やかに生きる秘訣である。
「疾風(しっぷう)怒雨(どう)には、禽鳥(きんちょう)も戚戚(せきせき)たり。
霽日(せいじつ)光風(こうふう)には、草木(そうもく)も欣欣(きんきん)たり。
見(み)るべし、天地(てんち)は一日(いちにち)も和気(わき)無(な)かるべからず、
人心(じんしん)は一日も喜神(きしん)無かるべからず。」
注釈:
- 疾風怒雨(しっぷうどうう)…激しい風と雨。自然界の荒れた状態、また比喩的に混乱した状況。
- 禽鳥(きんちょう)…鳥全般。ここでは自然に生きるものの代表。
- 戚戚(せきせき)…不安や恐れを抱き、びくびくしている様子。
- 霽日光風(せいじつこうふう)…晴れて風が穏やかでさわやかな気候のこと。
- 欣欣(きんきん)…喜びにあふれ、生き生きしているさま。
- 喜神(きしん)…喜びや楽しさを持つ心の状態。「神」はここで精神・気持ちを表す。
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