権力や富、美しさや華やかさに近づかない人は、清らかで立派だ。
だが、それ以上に清いのは、それらに近づいても染まらず、自分を貫く人である。
また、策略や打算を知らない人は高尚であるが、
それらを理解したうえで、なお使わない人こそ、真に崇高だといえる。
清潔とは距離ではなく、心の在り方。高尚とは無知ではなく、節度の選択である。
「勢利(せいり)紛華(ふんか)は、近(ちか)づかざる者(もの)を潔(きよ)しと為(な)し、
之(これ)に近づきて而(しか)も染(そ)まざる者を尤(もっと)も潔しと為す。
智械機巧(ちかいきこう)は、知らざる者を高(こう)しと為し、
之を知りて而も用(もち)いざる者を尤も高しと為す。」
注釈:
- 勢利紛華(せいりふんか)…権力・富・美麗さ・華やかさなど、世俗的な魅力や誘惑の象徴。
- 潔し(きよし)…清らかで気高いこと。心が穢れに染まっていない状態。
- 染まざる(そまざる)…世俗の価値観や誘惑に影響されず、自分の信念を保つこと。
- 智械機巧(ちかいきこう)…策略、計略、打算などの小賢しい手段。人を操ろうとする知恵。
- 高し(たかし)/尤も高し(もっともたかし)…高潔であること。その中でも特にすばらしい在り方。
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