MENU

学ばぬ者は、救いようがない

人間の優劣は、境遇ではなく「学ぼうとする姿勢」で決まる。
孔子は、人の学びのあり方に応じて四つの段階を示し、その最下層については「どうにもならない」と断じた。

  1. 生まれながらに道理を知っている者――これは聖人のような、きわめてまれな存在であり最上である。
  2. 自ら志して学び、道理を知る者――これは努力によって徳を身につけた立派な人。
  3. 苦しみや困難を経て、そこから学ぼうとする者――成長する意思がある、善き第三の層。
  4. 苦しんでもなお、学ぼうとしない者――これは最下層にして、どうしようもない人間である。

「学ぶか、学ばぬか」。
人生は、その一点でまったく異なる道を歩むことになる。
どれだけの困難に出会ったかではなく、それにどう向き合ったかで、人の価値は定まるのだ。


【原文引用(ふりがな付き)】

「孔子(こうし)曰(い)わく、生(う)まれながらにして之(これ)を知(し)る者は上(じょう)なり。学(まな)びて之を知る者は次(じ)なり。困(くる)しみて之を学ぶは又(また)其(そ)の次なり。困みて学ばず、民(たみ)斯(こ)れ下(げ)と為(な)す。」


【現代語訳・主旨】

生まれつき道理に通じている人は、最もすぐれた人物である。
努力して学び、道理を身につける人もまた立派である。
困難を経験し、その苦しみから学ぼうとする人も尊い。

しかし、苦しみを経験してもなお学ぼうとしない人――
それは救いようのない人間である、と孔子は言う。


【注釈】

  • 「生而知之(しょうにしてこれをしる)」:生まれながらに物事の道理を理解している。聖人の域。
  • 「学而知之(がくしてこれをしる)」:努力によって知に至る。最も現実的で尊い姿勢。
  • 「困而学之(くるしみてこれをまなぶ)」:苦しみをきっかけに学ぶ者。成長するチャンスを生かせる人。
  • 「困而不学(くるしみてまなばず)」:困難に出会っても学ばない人。自己を省みず、成長を拒絶している。

原文:

孔子曰、生而知之者、上也。
學而知之者、次也。
困而學之、又其次也。
困而不學、民斯為下矣。


目次

書き下し文:

孔子(こうし)曰(いわ)く、生(う)まれながらにして之(これ)を知る者は上(じょう)なり。
学(まな)びて之を知る者は次(じ)なり。
困(くる)しみて之を学ぶは又(また)其(そ)の次なり。
困(くる)しみて学ばざれば、民(たみ)斯(こ)れ下(げ)と為(な)す。


現代語訳(逐語/一文ずつ訳):

  1. 孔子は言った。
  2. 「生まれながらにして物事の道理を理解している者は最上である。」
  3. 「学んで知る者は、その次に優れている。」
  4. 「困難に出会い、それをきっかけに学んで知る者はさらにその次に位置する。」
  5. 「困難に出会っても学ばない者は、最も劣った存在である。」

用語解説:

  • 生而知之(うまれてこれをしる):天性として知識や道理を備えていること。先天的な賢者。
  • 學而知之(まなびてこれをしる):学問や努力を通じて知識や道理を身に付けること。後天的な向上。
  • 困而學之(くるしみてこれをまなぶ):困難や挫折を経験し、それを契機として学びを得ること。
  • 困而不學(くるしみてまなばず):困っても学ぼうとしないこと。成長の放棄。
  • 民斯為下矣(たみこれしもとなる):そのような者は民の中でも最下層に位置付けられる。

全体の現代語訳(まとめ):

孔子はこう語った:
「生まれつき知識や道理に通じている人は最も優れている。
努力して学び、それによって理解に至る人はその次に優れている。
苦しみや失敗を経験して、それをきっかけに学ぶ人もまた立派である。
だが、困難に遭っても何も学ばない者は、人の中でも最も劣った存在である。」


解釈と現代的意義:

この章句は、「人間の知的成長のあり方」を段階的に分類し、**“学ばない姿勢こそが最も恥ずべきこと”**であると説いています。

  • 生まれながらに賢い者は稀だが、それは理想。
  • 多くの人は努力して知識を得て成長する。
  • さらに、苦難から学べる人は、苦しみを糧にできるという点で優れている。
  • 最も問題なのは、困難があっても学ばず、そのままにする“成長拒否型”の態度。

ビジネスにおける解釈と適用:

1. 「才能ではなく“学ぶ姿勢”が評価される」

生まれつき優秀でなくとも、学ぶ意志があれば成長できる。
“生得的な才能”より、“継続的な学び”がキャリアを支える。

2. 「失敗や苦境こそ最大の学びのチャンス」

プロジェクトの失敗、顧客とのトラブル、人間関係の衝突──
そうした困難に遭ったときに、「なぜそうなったか」「どうすればよかったか」を自分に問い直すことで、真の成長が始まる。

3. 「学ばない者は、どんなに能力があっても組織の足を引っ張る」

「同じミスを繰り返す」「教えを軽んじる」「反省しない」──
こうした態度は、結果として周囲から信頼を失い、自らの成長も止めてしまう。


ビジネス用の心得タイトル:

「苦しみを糧に変える力──“学ばない者”が最も損をする」


この章句は、「成長の段階」と「姿勢の価値」を明示し、すべての人に“学び続けること”の重要性を説いています。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次