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君子は何事も自分に原因があると反省する

—— 他人を責めず、己を見つめる

孔子は、問題に対する姿勢の違いが、人の格を決定づけることを端的に語った。

君子は、あらゆる問題の原因を自分の中に求めて反省する
反対に、小人はすぐに他人を責め、責任を外に押しつける」と。

失敗やトラブル、うまくいかないことがあったとき、
君子は「自分にできたことはなかったか」「足りなかった点は何か」と考える。
一方で、小人は「誰が悪かった」「誰が邪魔した」と他者を責める。

自己責任の姿勢と内省の力こそが、徳を深める礎。
人として信頼される道は、他人を変えることより、自分を省みて変えることから始まる。


原文とふりがな

「子(し)曰(い)わく、君子(くんし)は諸(これ)を己(おのれ)に求(もと)め、
小人(しょうじん)は諸(これ)を人(ひと)に求(もと)む」


注釈

  • 「君子」:人格と責任感を備えた理想的人間。内省と成長を大切にする人。
  • 「小人」:未熟で自己中心的な人物。他責的で、他人に厳しく自分に甘い傾向を持つ。
  • 「求む」:原因や解決策を探す、という意味。ここでは「どこに問題の本質があるかを探る」という意味合い。

パーマリンク候補(英語スラッグ)

  • look-within-first(まず内に目を向けよ)
  • blame-self-not-others(責めるな、人より自分を)
  • responsibility-builds-character(責任感が人を育てる)

この章句は、自己成長・リーダーシップ・人間関係づくりにおいて欠かせない原則です。
問題の矢印を自分に向ける勇気が、徳と信頼を育てる第一歩になります。

1. 原文

子曰、君子求諸己、小人求諸人。


2. 書き下し文

子(し)曰(いわ)く、君子(くんし)は諸(これ)を己(おのれ)に求(もと)め、小人(しょうじん)は諸を人(ひと)に求む。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 「子曰く、君子はこれを己に求め」
     → 孔子は言った:「君子(徳のある人物)は、問題の原因や改善の努力を、自分自身に求める」。
  • 「小人はこれを人に求む」
     → 「小人(徳なき人)は、それを他人のせいにして求める」。

4. 用語解説

  • 君子(くんし):人格者・道徳的に優れた理想的な人物。自己反省力を持つ者。
  • 小人(しょうじん):徳のない人物。自己中心的・他責的な思考をする者。
  • 求諸己(もとめこれをおのれに):問題や改善の原因・解決策を自分に見出そうとする態度。
  • 求諸人(もとめこれをひとに):他人の行動や評価、外的環境にばかり原因や責任を求める態度。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孔子はこう言った:

「徳のある人物(君子)は、あらゆることをまず自分自身に問う。
徳のない人物(小人)は、他人に責任や解決を求める」。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、**「自責と他責の違い」**を鋭く突く孔子の自己省察哲学の要諦です。

  • 君子は「問題の出発点は自分にある」と考える。
  • 小人は「他人が悪い」「環境が悪い」と責任転嫁する。
  • 成熟した人格とは、「変えられるのは自分だけ」と自覚し、自己修養に努めることにある。

7. ビジネスにおける解釈と適用

◆ 「自責の文化が組織を強くする」

うまくいかないとき、「自分にできることは何か」と考える人が集まる組織は、成長と改善の連鎖が起きる。

◆ 「他責の文化は信頼を壊す」

失敗や課題が生じた際に、「部下が悪い」「上が悪い」「お客様が悪い」と言い出す組織は、いずれ責任のなすり合いに堕する。

◆ 「リーダーの姿勢が全体に影響する」

君子たるリーダーは、組織の問題に対し「自分が変わろう」「仕組みを整えよう」と動く。これが信頼と尊敬を生む。

◆ 「変えられるのは自分、そこに集中せよ」

環境や他人を変えるよりも、自分の言動・対応・考え方を変える方が早く、かつ効果的な変化を生む。


8. ビジネス用心得タイトル

「責任は外に問うな、己に求めよ──“自責”が信頼と成長をもたらす」


この章句は、リーダーシップ、セルフマネジメント、チームビルディングなど、あらゆるビジネスの場面で適用可能な**“自己責任の哲学”**を教えています。

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