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近しい場こそ、礼を忘れずに

── 日常の中の敬意が、人としての品格を築く

孔子は、地域でのささやかな集まりや儀式においても、決して礼を怠らなかった。
町内での酒宴では、自らが先に立って退席することなく、杖をついた年長者が退出してから静かに席を立たれた。
また、郷土の厄払い行事(儺・おにやらい)の際には、正式な礼服に着替え、家の玄関である阼階(そかい)にきちんと立って迎えた。

それは、身近な人々や場面にこそ、誠意ある姿勢で向き合うべきだという、孔子の一貫した礼の精神によるもの。
格式や規模に関わらず、相手と場を尊ぶ心が、日々の振る舞いに表れていた。


原文とふりがな付き引用

「郷人(きょうじん)、飲酒(いんしゅ)するに、杖(じょう)する者(もの)出(い)づれば、斯(ここ)に出づ。郷人、儺(だ)するには、朝服(ちょうふく)して阼階(そかい)に立(た)つ。」


注釈

  • 杖する者:年長者・高齢者のこと。敬意をもって先に退席していただく。
  • 儺(だ):鬼やらい。地域の厄除け行事。儀式としての意味合いが強い。
  • 朝服(ちょうふく):公式の場で着る礼服。
  • 阼階(そかい):家の正面玄関に当たる位置。礼をもって人を迎える場所。
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