ある日、孔子が川のほとりに立ち、水の流れをじっと見つめながら、静かにこうつぶやいた。
「逝く者は斯(こ)の如(ごと)きかな——
まるでこの川の流れのように、
昼も夜も、ひとときも止まることなく、すべては流れ去っていくのだ」
この「逝く者」とは、時の流れ、人生、そして過ぎ去るすべてのものを指している。
孔子はこの一言で、時の儚さと尊さ、そして受け入れる覚悟を語っている。
過去は流れ去るもの。悔やんでも戻ってはこない。
だからこそ、今を大切にし、流れの先にある未来を信じて進むしかない。
時間は止まらない。けれど、自分の心の持ち方は選べる。
この章句は、流れにのまれず、流れを理解して歩む姿勢を教えてくれる。
目次
原文
子在川上曰、逝者如斯夫、不舍晝夜。
書き下し文
子(し)、川(かわ)の上に在(あ)りて曰(いわ)く、逝(ゆ)く者は斯(か)くの如(ごと)きかな、昼夜(ちゅうや)を舎(お)かず。
現代語訳(逐語/一文ずつ訳)
- 子、川の上に在りて曰く
→ 孔子が川のほとりに立ち、こう言った。 - 逝く者は斯の如きかな
→ 「流れ行くものは、この川のようなものだな」 - 昼夜を舎かず
→ 「昼も夜も休むことなく流れていく。」
用語解説
- 逝く者(ゆくもの):流れていくもの。比喩として「時間」「人生」「運命」などを指す。
- 斯(か)くの如し:このようなものだ。
- 舎かず(おかず):止まらない、留まらない。つまり「絶え間なく続く」という意味。
全体の現代語訳(まとめ)
孔子が川の流れを見ながらこう言った:
「流れていくものというのは、まさにこの川のようだな。
昼も夜も休むことなく、絶え間なく流れ続けている。」
解釈と現代的意義
この章句は、孔子が川の流れに人生や時間の儚さと尊さを重ねて詠嘆した名言です。
- 時間の流れは止まらない
- 人生もまた、戻ることのない一方向の流れである
- だからこそ、一瞬一瞬を大切にし、学びと行動を惜しむべきだ
「逝く者」とは、時間、人生、時代など、人間の力では抗えない流れそのものです。
孔子のこの感慨には、深い無常観とともに、「今この時に真剣に向き合う」倫理的緊張感が込められています。
ビジネスにおける解釈と適用
1. 「時間は止まらない」──行動する者が未来をつかむ
- 「今はまだ早い」「タイミングが来たら」ではなく、時は待ってくれない。
- 行動せずに流されるのではなく、流れの中で動く覚悟が必要。
2. 「流れ」は避けられない──だからこそ備えと適応を
- 環境変化、技術革新、組織の世代交代……すべては絶えず動いている。
- それを嘆くより、「どう関わるか」「どう乗るか」を考えることが成長につながる。
3. 「今この瞬間」が未来の成果を決める
- 「昼夜を舎かず」とは、たゆまぬ努力と継続の象徴でもある。
- 日々の習慣、ルーティン、学びの積み重ねが、確かな流れの中に実を結ぶ。
まとめ
「流れは止まらない──“今を惜しむ力”が未来を変える」
この章句は、自己啓発、時間管理、人生設計、組織変革など多くの分野に通じる普遍的なメッセージを含んでいます。
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