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権力に迎合して軽口を叩くな ― 口は災いのもとである

魯の君主・哀公が、土地神を祀る「社(しゃ)」の神木について宰我(さいが)に尋ねたとき、宰我は歴代王朝が用いた樹木の種類を語った。
そして、周が「栗(くり)」を植えたのは「民を戦栗(せんりつ)させるためだ」と、冗談めいた含みで話した。
これを聞いた孔子はたしなめた。「終わったことはとやかく言っても仕方がない。済んだことを責めても意味がない。過ぎたことにこだわっても、何も生まれない」と。
孔子が本当に伝えたかったのは、「権力者に気に入られようとして、場当たり的な発言をすることは慎め」という戒めだった。

「成事(せいじ)は説(と)かず、遂事(すいじ)は諫(いさ)めず、既往(きおう)は咎(とが)めず」

知識をひけらかすための言葉は、誠を欠く。軽口は信頼を損ない、礼を乱す。


※注:

  • 「宰我(さいが)」…孔子の弟子。才弁に優れるが、軽薄な言動で孔子に戒められることも多かった。
  • 「社」…土地の神を祀る場所。社殿や神木がその象徴。
  • 「戦栗(せんりつ)」…恐れて身が震えること。宰我は「栗(くり)」にかけて不適切な冗談を言ったとされる。
  • 「成事・遂事・既往」…すでに完了した事柄。過去の出来事に対する執着を戒める言葉。

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