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まず行動し、その後に語れ

立派なことを語るのは容易いが、言葉に重みを持たせるには、まず自らがそれを実行していなければならない。

君子とは、言葉で飾るのではなく、まず行動によってその真価を示す人である。実践のあとに言葉がついてくる――それが、信頼される人間のあり方である。

語る前に、動け。行動によって語られる人物こそ、真に尊ばれる。

原文:

「子貢問君子。子曰、先行其言、而後従之。」

書き下し文:

「子貢(しこう)、君子(くんし)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、先(ま)ず其(そ)の言(げん)を行(おこな)い、而(しか)る後(のち)に之(これ)に従(したが)う。」

現代語訳(逐語/一文ずつ訳):

  1. 「子貢、君子を問う」
     → 弟子の子貢が、君子(理想的人格者)とはどのような人かを孔子に尋ねた。
  2. 「子曰く、先ず其の言を行い」
     → 孔子は答えた:「まず言ったことを自分で実行し、
  3. 「而る後に之に従う」
     → そのうえで(他人にも)それに従わせる(または、他人が自然に従うようになる)」

用語解説:

  • 子貢(しこう):孔子の高弟で、才知に優れた弁舌家。商才もあり外交手腕も発揮した人物。
  • 君子(くんし):道徳的に高潔で、人格的に優れた人物。孔子の理想的人間像。
  • 行う(おこなう):実行する。言葉を行動に移すこと。
  • 従う(したがう):言動に従う、納得してついてくる、という意味合いも含まれる。

全体の現代語訳(まとめ):

子貢が「君子とはどのような人物か」と尋ねたところ、孔子はこう答えた:
「まず自分の言葉を実行してこそ、その言葉に人が従う価値が生まれる。」

解釈と現代的意義:

この章句は、「言行一致こそが、君子=信頼される人格者の条件である」という孔子の倫理観を端的に表しています。

  • 君子は口先だけの人物ではなく、まず自らが実践し、それによって周囲に影響を与える
  • 言葉だけでなく「行動を通して徳を示す」ことが、他人の信頼を勝ち得る道。
  • つまり、リーダーシップとは、まず自らが模範となることである。

ビジネスにおける解釈と適用:

  1. 「リーダーは“言う前に動け”」
    • 上司・経営者は指示や方針を出すだけでなく、自ら先に実践する姿勢が部下の納得と共感を生む。
    • 「やれ」と言うのではなく、「やって見せる」ことが、最も強い影響力となる。
  2. 「言動一致が信頼をつくる」
    • 会議で語ったビジョン、約束した支援、掲げた価値観――行動が伴わなければ信用はすぐに崩れる
    • “あの人の言葉は行動が伴っている”という信頼が、組織の文化を底支えする。
  3. 「内発的フォロワーシップを育む」
    • 君子のように、行動によって人を導く姿勢は、部下や同僚に「従いたい」と思わせる。
    • 命令ではなく「共感と尊敬によるリーダーシップ」が現代的なマネジメントの鍵。

ビジネス用心得タイトル:

「先に動いて、言葉に力を──君子の信頼は“実行”から始まる」

この章句は、「リーダーとは言葉で導く者ではなく、行動で示す者である」という、あらゆる時代・組織に通じる普遍的な原則を示しています。

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