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人を見抜くには、行動・動機・結果に目を向けよ

人の真価を見極めるには、ただ表面的に接するだけでは足りない。

まずは、その人が実際に「何をしているか」をよく視ること。次に、「なぜそれを行ったのか」という動機や背景を観察すること。

最後に、その行為の「結果をどう受け止めているか」を察すること。

この三つ――視・観・察をもってすれば、人の本性や能力は隠しようがない。どれだけ取り繕っても、心の在りようは必ず行動にあらわれる。

人を見るとは、行動の前後に目を向け、その奥にある意志や信条を見抜くことである。

目次

原文

子曰、視其 以、觀其 由、察其 安、人焉廋哉、人焉廋哉、

子曰く、其の以てする所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉んぞ廋さんや。人焉んぞ廋さんや。

書き下し文:

「其(そ)の以(もっ)てする所(ところ)を視(み)、其の由(よ)る所を観(み)、其の安(やす)んずる所を察(さっ)すれば、人(ひと)焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや。人焉んぞ廋さんや。」

現代語訳(逐語/一文ずつ訳):

  1. 「其の以てする所を視み」
     → 人が行動するとき、どのような手段で行っているかを観察し、
  2. 「其の由る所を観み」
     → その行動の動機や背景・根拠を見極め、
  3. 「其の安んずる所を察すれば」
     → さらにその人が「何を安心・満足としているか(=内面的価値観)」を探れば、
  4. 「人、焉んぞ廋さんや」
     → 人間はどうしてその本性を隠せようか?(=隠しようがない)
  5. (繰り返し)「人、焉んぞ廋さんや」
     →(強調して)人の本質は、観察すれば必ず明らかになる。

用語解説:

  • 以てする所:手段、行動のあり方。
  • 由る所:根拠、動機、背景。
  • 安んずる所:心がよりどころとするもの、安心・満足するもの、価値観。
  • 察す:深く見極める、洞察する。
  • 焉んぞ(いずくんぞ)〜さんや:いったいどうして〜できようか(反語表現)。
  • 廋す(かくす):隠す、覆い隠す。

全体の現代語訳(まとめ):

人の行動の手段を見て、どのような動機に基づいているのかを観察し、何に満足しているのかを深く察すれば、その人の本質は隠しようがない。人間の本質は、いずれ必ず現れるものである。

解釈と現代的意義:

この章句は、「人の本質は行動と価値観の積み重ねから明らかになる」という、孔子の人間観・洞察力の哲学を示しています。

  • 言葉や表面的な態度ではなく、行動の手段・動機・価値観の3つを見ることによって、人の「真の姿」が見える。
  • 一時的に取り繕っていても、何をして、なぜそうして、何に満足しているかを見れば、本性は自然と表れてしまう
  • 孔子は、「観察・思考・洞察」の重要性を強調し、内面を見抜く知性と徳を重視しました。

ビジネスにおける解釈と適用:

  1. 「行動・動機・価値観」を見よ
    • 人材評価や採用、リーダー選定においても、「何をどう行っているか」「なぜそうするのか」「何を大事にしているか」の三つを見れば、真の資質や適性がわかる
    • 表面的な成果や言葉に惑わされず、その背後にある“信念・習慣・判断軸”を観察することが重要
  2. 「一貫性のある人物は信頼される」
    • 手段・動機・価値観がブレない人は、どんな環境でも信頼される。
    • 内面と行動にズレがある人は、長期的には評価されない。
  3. 「組織文化も“安んずる所”でわかる」
    • 組織が何に満足しているか(利益・スピード・誠実さ・人間関係など)を観察すれば、その組織の本質的な価値観が見える

ビジネス用心得タイトル:

「人は行動で現れ、価値観で見抜け──本質は言葉でなく“在り方”に宿る」

この章句は、人物を見る目・本質を見抜く力・組織の本音を察する力を鍛えるうえで、極めて重要なヒントを与えてくれます。

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