誠実であろうとする者は、自らを省みることを怠らない。
他人に助言するとき、それは真心から出たものだったか。友と接するとき、信を失う行いはなかったか。学びが不十分なまま、人に知ったふりをして教えていなかったか。
これらを日々自問し、心を整える者は、確かに少しずつ、しかし着実に高みへと向かっていく。
省みることを忘れたとき、人はたちまち傲りに流される。
慎みと内省こそ、真の成長を導く礎である。
目次
原文
曾子曰、吾日三省吾身、爲人謀而不忠乎、與 友交而不信乎、傳不 乎、
「吾(われ)は日に三(み)たび吾(わ)が身(み)を省(かえり)みる。人(ひと)の為(ため)に謀(はか)りて忠(ちゅう)ならざるか。朋友(ほうゆう)と交(まじ)わりて信(しん)ならざるか。習(なら)わざるを伝(つた)うるか」
原文と現代語訳:
- 「吾(われ)は日に三(み)たび吾(わ)が身(み)を省(かえり)みる。」
→ 私は毎日三度、自分自身の行いを振り返って反省する。 - 「人(ひと)の為(ため)に謀(はか)りて忠(ちゅう)ならざるか。」
→ 人のために助言したときに、真心や誠意をもって行っただろうか。 - 「朋友(ほうゆう)と交(まじ)わりて信(しん)ならざるか。」
→ 友人と交際する上で、誠実さを欠いてはいなかっただろうか。 - 「習(なら)わざるを伝(つた)うるか。」
→ 自分が十分に学んでいないことを、人に教えたりしていないだろうか。
※注:
- 省みる(かえりみる):反省する、内省する。
- 謀る(はかる):計画する、助言する、相談にのる。
- 忠:誠実さ、真心、他者に尽くす心。
- 信:信頼、誠実、約束を守ること。
- 習わざるを伝う:自分が身につけていない知識や技術を、分かったふりをして人に教えること。
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