事業を営むにあたり、常に心がけるべきは、その仕事が国家にとって真に必要なものであるか、そして道理にかなっているかである。
利のみに走らず、義と理とを備え、社会に益する道を選ぶことこそが、事業に携わる者の本分である。
国家に必要とされる事業を、合理的かつ誠実に経営するならば、その仕事は苦しみではなく、むしろ楽しみとなり、心を豊かに保ち続けることができる。
この信念に基づき、我は商売において『論語』を指針とし、孔子の教えを商道の「バイブル」として、ただその道を逸れることなく歩まんと努めてきた。
また事業の見解として、一個人にのみ利をもたらす仕事は、いかに成功したように見えても本義を欠く。
多数の社会を益し、人々の生活に寄与する仕事こそが、事業としての価値を持ち、誇りうる道である。
ゆえに、私益を超えて公益を見据え、商業の本懐を世に示すべきである。
○自分は常に事業の経営に任じては、その仕事が国家に必要であって、また道理に合するようにして行きたいと心掛けて来た。……国家必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで事に任じられる。ゆえに余は論語をもって商売上の「バイブル」となし、孔子の道以外には一歩も出まいと努めて来た。それから余が事業上の見解としては、一個人に利益ある仕事よりも、多数社会を益して行くのでなければならぬと思う。
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