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競争と道徳の分界

商工業の世界において、競争は避けがたいものであるが、その中にも明確なる道徳の一線が存在する。
競争には、善意の競争と悪意の競争とがある。
他を妨げ、利益を横奪し、破壊的に相手を貶めるような競争は、たとえ利を得たとしても、それは悪意の競争であり、道義に悖る行為である。
一方、品質を研ぎ澄まし、誠を尽くして商品を練り上げ、正道を踏んで世に供する競争は、他の利益を侵すことなく、自らの力で信を得る善意の競争である。
このような競争は互いを高め、社会に益をもたらし、健全なる商業の基礎となる。
これらの違いは、法律のみによって判別されるものではなく、何よりも自己の良心に照らして明らかとなる。
真の商人は、己の内なる道義に問うて、その競争が正しかりしや否やを知る。
ゆえに常に心を省み、競争の名のもとに道を誤ることなかれ。

○商工業などについての競争上の道徳というものがあったら、前来繰り返せし通り、善意競争と悪意競争、妨害的に人の利益を奪うという競争であれば、これを悪意の競争というのである。しからずして品物を精撰した上にも精撰して、他の利益範囲に喰い込むようなことはしない。これは善意の競争である。つまりこれらの分界は、何人でも自己の良心に徴して判明し得ることと思う。

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