個人の富は、すなわち国家の富である。
国家の繁栄を語るに、個人の努力と勉励なくしてそれを得る道はない。
人々が日々働き、励み、自己の発展と栄達を願うその営みが、やがて国の力を高め、全体の富へと結びついていく。
このようにして富が積まれる過程において、貧富の差が生じることは、人間社会における自然の成り行きであり、完全に避けることはできぬ道理でもある。
しかしながら、それを放置し、ただの「仕方のないこと」として済ませるべきではない。
社会の中で富む者も、そうでない者も、互いに不和なく共存し、全体として調和のとれた健やかな社会を築くことは、識ある者の務めであり責任である。
ゆえに、個人の富が国家を支え、国家の安寧が個人の幸福と結びつくよう、不断にその均衡と円満を意識しなければならない。
富は共に活かすことによってこそ、その真の意義を持つ。
○個人の富は、すなわち国家の富である。個人が富まんと欲するに非ずして、如何でか国家の富を得べき、国家を富まし自己も栄達せんと欲すればこそ、人々が、日夜勉励するのである。その結果として貧富の懸隔を生ずるものとすれば、そは自然の成り行きであって、人間社会に免るべからざる約束とみて諦めるより外、仕方がない。とはいえ、常にその間の関係を円満ならしめ、両者の調和を図ることに意を用うることは、識者の一日も欠くべからざる覚悟である。
コメント