かつて私は、
ただ金を儲けたいがために実業に入ったのではない。
国家のために商工業の発達を図りたい――
その一念が起こり、
爰に初めて、実業界の人になろうとの決心がついた。
実業とは、商いである。
商いとは、ただ物を売り買いすることではない。
人と人、産と産とを結び、
国家の血脈を循環させる尊き行いである。
ゆえに、その志が「国家公益」に根ざしていなければ、
いかに利益を上げようとも、長く世に耐えるものにはならぬ。
国が富まずして、民が富むことはない。
民が富まずして、企業が繁栄することもない。
我が営みは、国と人のためにあると知れ。
実業は道なり。
その道に入る決意をするならば、
まずその志を公に置け。
利益は志のあとから自ずとついてくる。
公益を背に持つ者に、
道は開け、信は集まり、力は満ちる。
これが、真の実業人たる者の覚悟である。
○国家のために商工業の発達を図りたい、という考えが起こって、爰に初めて実業界の人になろうとの決心がついた
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