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静まった心にこそ、真理は映る

「あなたはアートマンである」「あなたはブラフマンである」
この教えは、『バガヴァッド・ギーター』を貫く真理である。
しかし、それを聞いたからといって、ただちに深い理解が訪れるわけではない。
言葉で知ることと、体で腑に落ちることとの間には、大きな隔たりがある。

私たちの心は、情報と刺激に満ちた世界の中で、絶えずかき乱されている。
不足をあおる広告、誰かの成功を見せつけるSNS、未来への不安、過去への後悔――
それらが心を曇らせ、「本当にこれが真実なのか?」という疑いの霧を生み出す。

このような心で「ブラフマンの知識」を見つめようとしても、それはまるで泥水に月を映そうとするようなもの。
どれほど優れた教えであっても、鏡が曇っていては、本来の姿は映らない。

そこで必要なのが、「ヨーガの教え」である。
ヨーガとは、身体をねじる運動ではない。
本来の意味は、「つなぐ」「結ぶ」ことであり、心を澄ませるための内なる鍛錬である。

シュッディ(浄化)された心は、執着や雑念を手放し、
シャンティ(平安)を得た心は、動揺に影響されず、ただ在ることができる。

『ギーター』は語る。

平安において、彼のすべての苦は滅する。心が静まった人の知性は速やかに確立するから。(第 2章 65節)

静寂の中にこそ、真理は映り、深い実感として自分に根づいていく。

ヨーガは、理解を実感に変えるための道。
揺れる心を整え、真実に向き合うための土台。
その実践を通してはじめて、人は「私はアートマンである」という確かな感覚に至る。

知識を学ぶだけで満たされぬときは、心を整えることに努めよ。
外の音を静かにし、内なる鏡を磨くとき、そこに映るものはきっと変わっていく。

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