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逆境を識りて、正しく応じよ

世の中に逆境がまったく無いとは言い切れない。

しかし、逆境に出会ったとき、ただ嘆くのではなく、その原因を深く探ることが肝要である。

それが人為的なものか、自然の成り行きによるものかを、まず見極めねばならぬ。

自然的な逆境――たとえば天災や運命のめぐりに遭ったときは、天命に安んじて焦らず、心を乱さず、着実に力を蓄えること。撓まず、屈せず、ひたすら勉強を重ねる者にこそ、次の好機は訪れる。

一方で、人為的な逆境――自らの行いや判断の過ちによって招いた困難においては、まず己を省みよ。他を責める前に、自身の非を認め、改むる勇気を持つこと。

逆境は、ただ避けるものではない。それは己を磨き、道を正す試練でもある。

正しく向き合い、静かに乗り越える者だけが、真の力を得る。

○世の中に逆境は絶対に無いと言い切ることはできない……宜しくそのよって来る所以を講究し、それが人為的逆境であるか、ただしは自然的逆境であるかを区別し、しかる後これに応ずるの策を立てねばならぬ。……自然的の逆境に処するに当たっては、まず天命に安んじ、おもむろに来るべき運命を待ちつつ、撓まず屈せず勉強するがよい。それに反して、人為的の逆境に陥った場合は如何にすべきかというに、これは多く自働的なれば、何でも自分に省みて悪い点を改めるより外はない。 渋沢 栄一. 論語と算盤 (角川ソフィア文庫) (p. 20). (Function). Kindle Edition. 

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