原価計算は、製品の製造にかかった費用を正確に把握するために以下の3つの段階で進められます。それぞれの段階で行われる手続きと勘定の動きについて説明します。
- 第1段階: 費目別計算
- 第2段階: 製造間接費の配賦
- 第3段階: 製品原価の計算
目次
第1段階: 費目別計算
費目別計算は、原価計算の最初のステップで、製造原価を以下の費目に分類し、消費額を計算します。
- 材料費: 製造に使用された材料の金額。
- 労務費: 作業員の労働にかかった費用。
- 経費: 材料費・労務費以外の費用(例: 水道光熱費)。
ポイント:
- 製造直接費(直接材料費、直接労務費、直接経費)は、直接その製品にかかった金額が分かるため、仕掛品勘定に直接振り替えられます。
- 製造間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)は、直接どの製品に対応するかわからないため、まず製造間接費勘定に集計されます。
第2段階: 製造間接費の配賦
第1段階で製造間接費勘定に集計した費用を、各製品(仕掛品勘定)に配分する作業です。この配賦(はいふ)は、以下のような基準に基づいて行われます。
- 作業時間
- 機械の稼働時間
- 労務費の割合 など
ポイント:
- 配賦基準を適切に設定することで、各製品に合理的な方法で間接費を割り当てます。
- 配賦された製造間接費は仕掛品勘定に振り替えられます。
第3段階: 製品原価の計算
第3段階では、完成した製品の原価を計算します。
- 仕掛品勘定に集計された原価のうち、完成品に対応する部分を製品勘定に振り替えます。
製品原価の計算方法には次の2種類があります。
- 個別原価計算: 製品ごとに原価を計算する方法。
- 総合原価計算: 大量生産される製品に対して平均的な原価を計算する方法。
完成品の販売: 売上原価勘定への振り替え
製品が完成した後、それが販売されると、販売された製品に対応する原価を以下のように振り替えます。
- 製品勘定 → 売上原価勘定
販売済み製品の原価を移動し、損益計算書の「売上原価」として計上します。
勘定の流れまとめ
以下の流れで原価計算が進行します。
費目別計算
- 費目(材料費、労務費、経費)ごとに計算。
- 製造直接費は仕掛品勘定へ、製造間接費は製造間接費勘定へ振り替え。
製造間接費の配賦
- 製造間接費を基準に従って仕掛品勘定へ振り替え。
製品原価の計算
- 仕掛品勘定から完成品分を製品勘定へ振り替え。
売上原価への振り替え
- 製品勘定から売上原価勘定へ振り替え。
図解: 原価計算の流れ
1. 費目別計算
材料費、労務費、経費 → [仕掛品勘定 / 製造間接費勘定]
2. 製造間接費の配賦
製造間接費勘定 → [仕掛品勘定]
3. 製品原価の計算
仕掛品勘定 → [製品勘定]
4. 販売時の処理
製品勘定 → [売上原価勘定]
まとめ
原価計算は、費目別計算、製造間接費の配賦、製品原価の計算という3段階を経て、製品の製造にかかった費用を正確に把握します。さらに、完成品が販売されると、その原価が売上原価として計上されます。
この一連の流れは、企業のコスト管理や収益分析において極めて重要です。
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