1. 洗替法
概要
- 洗替法とは、決算において、売買目的有価証券の帳簿価額を時価で評価替えした後、翌期首に評価替え前の取得原価に振り戻す方法です。
- 特徴:
- 前期末の決算整理仕訳を、翌期首に逆仕訳して元に戻す。
- 毎期、時価評価の影響をその期のみに限定。
仕訳例
- 決算時(帳簿価額 1,000円 → 時価 900円)
評価損の発生により仕訳を行います。
借方: 有価証券評価損 100円
貸方: 売買目的有価証券 100円
- 翌期首(洗替処理: 元の取得原価に振り戻す)
決算時の仕訳を逆仕訳します。
借方: 売買目的有価証券 100円
貸方: 有価証券評価損 100円
2. 切放法
概要
- 切放法とは、決算において、売買目的有価証券の帳簿価額を時価で評価替えした後、翌期首に振り戻さず、そのまま時価評価を維持する方法です。
- 特徴:
- 翌期首に逆仕訳を行わない。
- 評価替えの影響が継続するため、翌期以降も時価ベースで管理。
仕訳例
- 決算時(帳簿価額 1,000円 → 時価 900円)
評価損の発生により仕訳を行います。
借方: 有価証券評価損 100円
貸方: 売買目的有価証券 100円
- 翌期首
翌期首には何の処理も行いません。
3. 比較表
項目 | 洗替法 | 切放法 |
---|---|---|
決算時 | 帳簿価額を時価に評価替え | 帳簿価額を時価に評価替え |
翌期首の処理 | 前期末の評価替えを逆仕訳で戻す | 処理を行わず、時価評価を維持 |
評価替えの影響 | 評価替えの影響はその期のみ | 評価替えの影響が翌期以降も継続 |
適用ケース | その期のみの損益を重視する場合 | 資産価値の継続的な時価評価を重視する場合 |
4. 適用基準
- 洗替法:
- 短期的な損益計算を重視する場合に適用。
- 有価証券の短期売買を目的とし、帳簿を取得原価ベースで保つ方針の企業に適している。
- 切放法:
- 資産価値の継続的な時価評価を重視する場合に適用。
- 長期的な時価評価の透明性を確保したい場合に適している。
5. まとめ
洗替法と切放法は、有価証券の時価評価に伴う会計処理方法ですが、適用の選択は企業の会計方針や目的に応じて異なります。両方法とも、財務諸表の利用目的に応じて使い分けることが重要です。
コメント