支配獲得日後1年目の連結財務諸表の作成

支配獲得日後1年目では、支配獲得日からの影響を引き継ぎつつ、当期の損益計算書や株主資本等変動計算書を含む連結財務諸表を作成します。以下に具体的な手順と仕訳例を示します。

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1. 開始仕訳

開始仕訳は、支配獲得日から前期末までの連結修正仕訳を再度行い、当期の連結財務諸表を作成する準備をします。

例: 開始仕訳

• 前期末ののれん：20円
• 子会社資本（資本金300円、利益剰余金100円、非支配株主持分160円）。

仕訳

借方: 資本金当期首残高                 180円  （300円 × 60%）
借方: 利益剰余金当期首残高             60円   （100円 × 60%）
借方: のれん                          20円
貸方: 投資勘定                        260円
貸方: 非支配株主持分当期首残高         160円  （300円 + 100円） × 40%

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2. 当期の連結修正仕訳

(1) のれんの償却

• のれんの発生額：20円
• 償却期間：10年間均等償却
• 当期償却額：20円 ÷ 10年 = 2円

仕訳

借方: のれん償却                     2円
貸方: のれん                         2円

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(2) 子会社の当期純損益の振り替え

• 子会社の当期純利益：40円
• 親会社持分：40円 × 60% = 24円
• 非支配株主持分：40円 × 40% = 16円

仕訳

借方: 非支配株主持分当期変動額         16円
貸方: 非支配株主に帰属する当期純利益    16円

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(3) 子会社の配当金の修正

• 子会社の配当金総額：30円
• 親会社持分：30円 × 60% = 18円
• 非支配株主持分：30円 × 40% = 12円

仕訳

1. 配当金の相殺（親会社分）：

   借方: 剰余金の配当                 18円
   貸方: 受取配当金                   18円

2. 非支配株主持分の減少：

   借方: 非支配株主持分当期変動額     12円
   貸方: 剰余金の配当                 12円

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3. 連結財務諸表の完成

(1) 連結貸借対照表

• のれんは償却後の残高（20円 – 2円 = 18円）を計上。
• 非支配株主持分は調整済みの金額を計上。

(2) 連結損益計算書

• 子会社の当期純利益を親会社持分と非支配株主持分に振り分け。
• のれん償却を費用として計上。

(3) 連結株主資本等変動計算書

• 各純資産科目について「当期首残高」「当期変動額」を反映。

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4. まとめ

支配獲得日後の連結修正仕訳では、以下の要点に注意します：

1. 開始仕訳: 前期までの連結修正を再反映。
2. のれんの償却: 原則20年以内で均等償却。
3. 子会社の当期純損益: 非支配株主持分と親会社持分に振り分け。
4. 子会社配当金の修正: 配当金は相殺し、非支配株主持分を減少。

これらを正確に処理することで、グループ全体の経営成績や財務状況を反映した連結財務諸表が完成します。