目次
1. 商品を輸出したとき
輸出時には、輸出時点の為替相場に基づき外貨建金額を日本円に換算し、売上収益を計上します。代金が未収の場合は、売掛金を計上します。
【例1】商品を輸出したとき
取引内容
- X1年4月20日、アメリカのC社に商品200ドルを輸出。
- 支払い条件:翌月末日に受領(売掛金として処理)。
- 為替相場:1ドル = 110円。
仕訳
借方:売掛金 22,000円 (200ドル × 110円)
貸方:売上収益 22,000円
2. 前受金がある場合
(1) 前受金を受け取ったとき
輸出前に前受金を受け取った場合、受領時の為替相場で「前受金(負債)」として処理します。
【例2】前受金の受取り
取引内容
- X1年4月10日、アメリカのD社に商品200ドルを輸出する契約を締結し、前受金20ドルを現金で受領。
- 為替相場:1ドル = 100円。
仕訳
借方:現金 2,000円 (20ドル × 100円)
貸方:前受金 2,000円
(2) 商品を輸出したとき(前受金あり)
輸出時には以下の手順で処理します:
- 計上済みの前受金(負債)を減少させる。
- 残額を輸出時点の為替相場で換算し、売掛金として計上する。
- 前受金と売掛金の合計を売上収益として計上する。
【例3】商品を輸出したとき(前受金あり)
取引内容
- X1年4月10日:前受金20ドル(例2で計上済み)。
- X1年4月20日:商品200ドルを輸出。
- 差額180ドルは翌月末日に受領予定(売掛金として処理)。
- 為替相場:
- X1年4月10日:1ドル = 100円。
- X1年4月20日:1ドル = 110円。
仕訳
借方:前受金 2,000円 (20ドル × 100円)
売掛金 19,800円 (180ドル × 110円)
貸方:売上収益 21,800円 (2,000円 + 19,800円)
計算内訳
- 総売上金額:200ドル × 110円 = 22,000円。
- 前受金:20ドル × 100円 = 2,000円。
- 売掛金:180ドル × 110円 = 19,800円。
3. まとめ
【輸出時の処理のポイント】
状況 | 処理内容 |
---|---|
輸出時(前受金なし) | 為替相場に基づき「売上収益」と「売掛金」を計上。 |
前受金受領時 | 受領時の為替相場で「前受金(負債)」を計上。 |
輸出時(前受金あり) | 前受金を減少させ、残額を売掛金として計上。 |
【前受金の影響を考慮した計算式】
- 売上金額 = 前受金(受領時の為替相場) + 売掛金(輸出時の為替相場)
実例まとめ
【例】D社への商品輸出
- 前受金受領時
- 仕訳
借方:現金 2,000円
貸方:前受金 2,000円
- 輸出時
- 仕訳
借方:前受金 2,000円
売掛金 19,800円
貸方:売上収益 21,800円
4. 為替相場の変動への対応
外貨建取引では為替相場の変動が影響します。輸出時点と前受金受領時点で為替相場が異なる場合、それぞれの時点での相場を正確に適用することが重要です。
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