目次
1. 変動対価とは
変動対価は、顧客と約束した対価のうち、変動する可能性があるものを指します。
- 例:リベート(売上割戻し)、ボーナス支払い、成果報酬など。
収益認識の際には、変動対価を考慮し、予想される金額を差し引いて収益を計上します。
2. 売上割戻しとは
売上割戻しは、取引先が一定の条件を満たした場合に、代金の一部を還元するものです。
- 売上側から見たリベートのこと。
- 割戻しが予想される場合、予想額を「返金負債(負債)」として計上します。
売上割戻しの処理
1. 商品を販売したとき
割戻しが予想される場合、販売収益から割戻し分を差し引いて計上し、返金負債を同時に計上します。
【例1】商品を販売したとき
取引内容
- 商品Xの販売単価:100円。
- 販売個数:200個。
- 条件:当期中に300個以上販売した場合、1個あたり10円をリベートとして支払う。
- 当期の販売個数予想:400個。
仕訳
借方:現金 20,000円 (100円 × 200個)
貸方:売上収益 18,000円 ((100円 - 10円) × 200個)
返金負債 2,000円 (10円 × 200個)
2. 売上割戻しを行ったとき
割戻し条件を満たし、リベートを支払った場合、計上済みの返金負債を減少させます。
【例2】売上割戻しがあったとき
取引内容
- 300個以上販売したため、リベート条件が適用。
- 割戻し額:2,000円(200個 × 10円)。
- 現金でリベートを支払った。
仕訳
借方:返金負債 2,000円
貸方:現金 2,000円
3. 売上割戻しが適用されなかったとき
予想された割戻しが適用されなかった場合、計上していた返金負債を収益に振り替えます。
【例3】売上割戻しが適用されなかったとき
取引内容
- 当期中に割戻し条件を満たさなかった(販売個数が300個未満)。
- 計上済みの返金負債:2,000円。
仕訳
借方:返金負債 2,000円
貸方:売上収益 2,000円
4. 当期末で割戻しの最終精算
- 条件達成:返金負債を取り崩し、リベートを支払う。
- 条件未達:返金負債を収益に振り替える。
売上割戻しの流れ
タイミング | 仕訳例 |
---|---|
販売時 | 割戻し分を差し引いた収益と返金負債を計上。 |
割戻し実行時 | 返金負債を減少させ、現金などで支払う。 |
割戻し未適用の場合 | 返金負債を収益に振り替える。 |
実例まとめ
【例】B社に商品Xを販売
- 販売時
- 200個販売 → 割戻し分計上。
- 仕訳
借方:現金 20,000円
貸方:売上収益 18,000円
返金負債 2,000円
- 追加販売で割戻し条件達成
- 100個追加販売 → 累計300個達成 → 割戻し額2,000円支払い。
- 仕訳
借方:返金負債 2,000円
貸方:現金 2,000円
- 条件未達の場合(返金負債の振替)
- 条件未達で割戻しが発生しなかった場合。
- 仕訳
借方:返金負債 2,000円
貸方:売上収益 2,000円
ポイント
- 変動対価の考慮
割戻しなどの変動対価は、予測値を基に計上。 - 返金負債の利用
割戻し予想額は返金負債(負債)として記録し、支払い時に減少。 - 条件未達時の処理
未使用の返金負債は収益として振り替え。
売上割戻しの処理を適切に行うことで、収益認識が正確で透明なものとなります。
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