収益認識の基本原則に基づき、以下の5つのステップを経て、収益の計上金額や方法を決定します。
目次
1. 顧客との契約を識別する
まず、顧客との契約を確認し、収益認識基準を適用すべき契約かどうかを判定します。
- ポイント
- 契約内容を明確にし、企業と顧客の間で財やサービスを移転する合意があることを確認。
- 契約には具体的な取引条件や価格が含まれている必要があります。
例
企業が顧客と「商品を販売し、2年間の保守サービスを提供する契約」を締結。
2. 契約における履行義務を識別する
次に、契約内で顧客に提供する財やサービスを個別に識別します。
- 履行義務
顧客に移転する財やサービスごとに義務を分けて把握。
例
「商品の販売」と「保守サービス」のように、1つの契約に複数の履行義務が含まれる場合、それぞれを識別します。
3. 取引価格を算定する
契約の取引価格を算定します。
- 取引価格
財またはサービスを移転するのと交換に企業が得ると見込む対価の額。 - 考慮事項
- 消費税など、企業が回収するが最終的に他者に渡す金額は取引価格に含めない。
- 変動対価(例:成果報酬やボーナス)や現金以外の対価が含まれる場合、それを考慮。
例
契約書に「商品の対価80円」「保守サービスの対価20円」と記載されている場合、取引価格は100円。
4. 取引価格を履行義務に配分する
算定した取引価格を各履行義務に分けます。
- 配分方法
識別した履行義務ごとに、取引価格を合理的に割り当てます。
例
取引価格100円を以下のように配分:
- 「商品の販売」→ 80円
- 「保守サービス」→ 20円
5. 履行義務を果たしたときに収益を認識する
最後に、履行義務を果たした時点で、または果たすにつれて収益を認識します。
- 履行義務を果たすタイミング
- 商品を引き渡した時点。
- サービスを提供した期間に応じて収益を計上。
例
- 商品引き渡し時に「売上80円」を計上。
- 保守サービスは、2年間の契約期間に基づき、1年分(10円)を当期収益として計上。
実例を用いた仕訳
取引内容
A社は顧客と以下の契約を締結:
- 商品を販売(80円)
- 2年間の保守サービスを提供(20円)
(1) 契約時に代金100円を受け取った場合
借方:現金 100円
貸方:前受収益 100円
(2) 商品引き渡し時
借方:前受収益 80円
貸方:売上収益 80円
(3) 保守サービス1年分の提供完了時
借方:前受収益 10円
貸方:役務収益 10円
まとめ
収益認識の5つのステップ
- 顧客との契約を識別:契約内容を明確化。
- 履行義務を識別:提供する財やサービスを個別に把握。
- 取引価格を算定:契約の対価を合理的に計算。
- 履行義務に配分:取引価格を各履行義務に割り当て。
- 履行義務の果たしで収益認識:履行に応じて収益を計上。
ポイント
- 収益認識は「履行義務を果たした時点」で行う。
- 複数の履行義務がある場合は、それぞれに対価を配分し、進捗に応じて収益を認識。
収益認識の5ステップを正確に適用することで、収益計上が適切かつ透明に行えます。
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