目次
評価の基本原則
その他有価証券は「将来的に売却する可能性があるもの」として、決算時に時価評価を行います。ただし、以下の特徴があります:
- 評価差額(帳簿価額と時価との差額)は、損益計算書に直接計上しません。
- 評価差額は、貸借対照表の純資産の部に計上します。
評価方法:全部純資産直入法
特徴
- 評価差額の計上先
評価差額の合計額を「その他有価証券評価差額金(純資産)」として計上します。 - 仕訳の処理
- 純資産の増加:貸方に計上(評価益)。
- 純資産の減少:借方に計上(評価損)。
決算時の処理
【例13】その他有価証券の評価
(1) D社株式(評価益)
取引内容
- 帳簿価額:2,000円
- 時価:2,200円
- 評価差額(時価 – 帳簿価額):2,200円 – 2,000円 = 200円(評価益)
仕訳
借方:その他有価証券 200円
貸方:その他有価証券評価差額金 200円
(2) 巨社株式(評価損)
取引内容
- 帳簿価額:1,450円
- 時価:1,300円
- 評価差額(帳簿価額 – 時価):1,450円 – 1,300円 = 150円(評価損)
仕訳
借方:その他有価証券評価差額金 150円
貸方:その他有価証券 150円
洗替法
洗替法とは
洗替法では、決算時に計上した評価差額を翌期首に「再振替仕訳(逆仕訳)」で振り戻します。これにより、毎期末に評価替えを行い、時価情報を反映させることができます。
再振替仕訳の例(翌期首)
- 【D社株式の評価益】
借方:その他有価証券評価差額金 200円
貸方:その他有価証券 200円
- 【巨社株式の評価損】
借方:その他有価証券 150円
貸方:その他有価証券評価差額金 150円
実務上のポイント
- 時価評価の定期性
決算時に評価替えを行い、翌期首に振り戻すことで、純資産への影響を適正に管理します。 - 純資産への計上
その他有価証券評価差額金は、貸借対照表の純資産の部に計上され、直接損益計算書に影響を与えません。 - 減損の可能性
その他有価証券の時価が著しく下落し、回復が見込めない場合には、評価損を損益計算書に計上する減損処理が必要となります。
これらの評価方法を正確に適用することで、その他有価証券の価値が財務諸表に適切に反映され、企業の財務情報の透明性が向上します。
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