剰余金 とは、会社がこれまでに得た利益のうち、まだ具体的な使い道が決まっていない部分を指します。会社が獲得した利益は株主への還元や会社の内部留保として処理されます。
目次
1. 剰余金の配当とは?
剰余金の配当 とは、会社が得た利益を株主に還元することを指します。
- 株主は会社の出資者であるため、会社の利益は基本的に株主のものと考えられます。
- 配当の金額や配当方法は、株主総会で決定されます。
主な配当の形式
- 現金配当: 株主に現金で利益を還元する。
- 株式配当: 株主に新株を発行して還元する。
2. 剰余金の処分とは?
剰余金のすべてが配当されるわけではなく、一部は会社内に留保され、経営資源として利用されます。これを剰余金の処分といいます。
剰余金の処分には以下の方法があります。
(1) 利益準備金の積み立て
- 会社法の規定 により、配当を行う場合には、一定の金額を利益準備金として積み立てることが義務付けられています。
- 目的: 株主や債権者の保護のため、企業の純資産を一定以上に維持する。
(2) 任意積立金の積み立て
- 会社の判断で、特定の目的のために剰余金を留保します。
- 例
- 新築積立金: 建物の新築のための積立金。
- 別途積立金: 特定の使用目的を決めずに積み立てる金額。
3. 剰余金の配当と処分の決定
剰余金の配当や処分に関する決定は 株主総会 で行われます。
決定内容の例
- 配当額: 配当として株主に還元する金額。
- 利益準備金の積立額: 法定準備金として積み立てる金額。
- 任意積立金の設定: 経営のために内部留保する金額。
4. 剰余金の配当と処分の仕訳例
例1: 剰余金の配当と利益準備金の積立
- 配当金として100万円、利益準備金として10万円を積み立てた場合:
利益剰余金 110万円 / 未払配当金 100万円
/ 利益準備金 10万円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
利益剰余金 | 110 | 未払配当金 | 100 |
利益準備金 | 10 |
例2: 任意積立金の設定
- 別途積立金として50万円を設定した場合:
利益剰余金 50万円 / 別途積立金 50万円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
利益剰余金 | 50 | 別途積立金 | 50 |
5. 剰余金の配当と処分の意義
- 配当の意義: 株主への利益還元を通じて株主価値を高め、投資家の信頼を獲得します。
- 処分の意義: 企業の財務基盤を強化し、長期的な経営安定性を確保します。
まとめ
剰余金の配当と処分は、株主への利益還元と会社の将来の成長のための内部留保とのバランスを図る重要なプロセスです。株主総会で適切に決定されることで、企業と株主の利益が両立されます。
コメント