新株発行(増資)は、会社が資本金を増加させるために新たに株式を発行するプロセスです。この手続きには以下のステップが含まれます。
目次
1. 新株発行の手続き
(1) 株主の募集
- 取締役会で決議 された後、会社は発行株式数や価格を公告し、株主を募集します。
(2) 株式の申し込み
- 株を購入したい人(株式申込者)は、申込書を提出し、申込証拠金を添えて申し込みます。
(3) 株式の割り当て
- 申込期日終了後、会社は申込者に対して株式を割り当てます。
- 割り当てられなかった申込者には、申込証拠金を返金します。
(4) 払込期日の到来
- 株式を割り当てられた申込者は、払込期日までに株式代金を払い込みます。
- この段階で、会社の会計処理を行い、増資が完了します。
2. 新株発行の会計処理
(1) 申込証拠金を受け取ったとき
- 申込証拠金(純資産) として処理します。
- 現金や預金は、会社の他の資産と区別し、別段預金(資産) で管理します。
仕訳例
A株式会社が新株20株を1株600円で募集し、申込証拠金全額(12,000円)を別段預金で受け取った場合:
別段預金 12,000円 / 株式申込証拠金 12,000円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
別段預金 | 12,000 | 株式申込証拠金 | 12,000 |
(2) 払込期日が到来したとき
- 株式申込証拠金(純資産) を 資本金(純資産) に振り替えます。
- 申込証拠金を保管していた 別段預金(資産) を 当座預金(資産) に振り替えます。
容認処理の場合
- 「会社法」に基づき、払込金額の最低2分の1を資本金として計上し、残りを資本準備金として処理します。
仕訳例
払込期日に資本金を「会社法」で認められる最低額とし、残額を資本準備金とした場合:
株式申込証拠金 12,000円 / 資本金 6,000円
/ 資本準備金 6,000円
別段預金 12,000円 / 当座預金 12,000円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
株式申込証拠金 | 12,000 | 資本金 | 6,000 |
資本準備金 | 6,000 | ||
別段預金 | 12,000 | 当座預金 | 12,000 |
ポイントまとめ
- 申込証拠金の管理
- 別段預金で管理し、会社の他の資産と区別する。
- 容認処理の適用
- 払込金額の最低2分の1を資本金、残りを資本準備金として処理可能。
- 増資完了のタイミング
- 払込期日に会計処理を行い、資本金や資本準備金に振り替える。
新株発行の手続きの流れ図
- 取締役会で決議
- 株主を募集
- 株式申し込み → 申込証拠金受け取り(別段預金)
- 株式割り当て → 未割当者への証拠金返還
- 払込期日 → 会計処理で資本金や資本準備金へ振り替え
新株発行は、会社にとって重要な資金調達の手段であり、適切な手続きと会計処理を行うことで、透明性の高い運営が実現します。
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