棚卸減耗は、材料の保管や運搬、入出庫中に発生する減少分を指します。
この減少により帳簿上の在庫数量と実地での在庫数量に差異が生じる場合、その減少額を棚卸減耗費として処理します。
目次
1. 棚卸減耗の種類
棚卸減耗は以下の2種類に分類されます。
(1) 正常な棚卸減耗
通常の業務内で発生し得る範囲の減耗。
処理方法
製造間接費(製造原価)として処理する。
材料勘定から製造間接費勘定へ振り替える。
(2) 異常な棚卸減耗
大量減耗や特異な原因による減少。
処理方法
営業外費用や特別損失として処理する。
2. 正常な棚卸減耗の仕訳例
例題
- 月末の帳簿棚卸数量: 10個(消費単価 @120円)
- 実地棚卸数量: 8個
- 棚卸減耗: 10−8 = 2 個
- この棚卸減耗は正常な範囲内のものである。
計算
棚卸減耗費 = 2 × 120 = 240円
仕訳
棚卸減耗費を製造間接費として処理:
借方: 製造間接費 240円
貸方: 材料 240円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
製造間接費 | 240 | 材料 | 240 |
3. まとめ
項目 | 正常な棚卸減耗 | 異常な棚卸減耗 |
---|---|---|
発生範囲 | 通常業務内で起こり得る範囲 | 異常な要因または大量の減少 |
処理方法 | 製造原価(製造間接費)として処理 | 営業外費用や特別損失として処理 |
仕訳例(正常な場合) | 借方: 製造間接費 / 貸方: 材料 | 借方: 営業外費用または特別損失 / 貸方: 材料 |
正常な棚卸減耗は間接経費に分類されるため、製造原価計算の一部として取り扱います。
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