決算整理⑥ 有形固定資産の売却
目次
1. 売却時の基本ルール
2. 売却の処理
(1) 売却価額 < 帳簿価額
- 条件:
- 備品(取得原価:10,000円、減価償却累計額:5,400円)
- 帳簿価額:10,000円 – 5,400円 = 4,600円
- 売却価額:4,000円(損失600円)
- 仕訳:
借方:減価償却累計額 5,400 現金 4,000 固定資産売却損 600 貸方:備品 10,000
借方 | 貸方 |
---|
減価償却累計額 | 5,400 | 備品 | 10,000 |
現金 | 4,000 | | |
固定資産売却損 | 600 | | |
(2) 売却価額 > 帳簿価額
- 条件:
- 仕訳:
借方:減価償却累計額 5,400 現金 5,200 貸方:備品 10,000 固定資産売却益 600
借方 | 貸方 |
---|
減価償却累計額 | 5,400 | 備品 | 10,000 |
現金 | 5,200 | 固定資産売却益 | 600 |
3. 期中売却
追加の考慮事項
- 期中売却では、売却日までの減価償却費を月割計算し、帳簿価額を調整する必要があります。
- 条件:
- 売却日:X4年8月31日(決算日:3月31日)
- 備品(取得原価:10,000円、減価償却累計額:5,400円)
- 定額法、残存価額10%、耐用年数5年
- 売却価額:4,000円
手順
- 1年間の減価償却費計算
- 減価償却費 = (取得原価 – 残存価額) ÷ 耐用年数
- 残存価額 = 10,000円 × 10% = 1,000円
- 減価償却費 = (10,000円 – 1,000円) ÷ 5年 = 1,800円/年
- 期中(4月~8月)の減価償却費
- 月割計算:1,800円 ÷ 12 × 5か月 = 750円
- 帳簿価額の再計算
- 帳簿価額(売却前)= 10,000円 – (5,400円 + 750円) = 3,850円
- 売却処理
- 売却価額:4,000円(利益150円)
- 仕訳:
借方:減価償却累計額 6,150 現金 4,000 貸方:備品 10,000 固定資産売却益 150
借方 | 貸方 |
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減価償却累計額 | 6,150 | 備品 | 10,000 |
現金 | 4,000 | 固定資産売却益 | 150 |
4. ポイントまとめ
- 売却価額 と 帳簿価額 の比較で損益を判断。
- 期中売却 の場合は月割計算で減価償却費を調整。
- 記帳は間接法(減価償却累計額を使う)で行う。
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