企業が所有する有形固定資産に対して行う工事や支出は、その目的によって「改良」と「修繕」に分類され、それぞれ異なる簿記処理が行われます。
目次
改良とは
改良とは、有形固定資産の価値を高めたり、耐用年数を延長させるための工事を指します。
- 例: 非常階段の設置、防火・防音工事など。
- 処理: 改良にかかった支出(資本的支出)は、資産の価値を増加させるものとして、有形固定資産の勘定科目に加算します。
修繕とは
修繕とは、有形固定資産の本来の価値を維持するための工事を指します。
- 例: 壁のひび割れ修復、雨漏りの修繕など。
- 処理: 修繕にかかった支出(収益的支出)は、費用としてそのまま計上します。
改良と修繕の処理例
取引内容
A社が所有する建物について、改良と修繕を行い、合計70,000円を小切手で支払った。
- 改良(資本的支出): 50,000円
- 修繕(収益的支出): 20,000円
仕訳
- 資本的支出(改良)
- 勘定科目: 建物(資産の増加)
- 収益的支出(修繕)
- 勘定科目: 修繕費(費用の増加)
仕訳:
- 借方: 建物 50,000円
- 借方: 修繕費 20,000円
- 貸方: 当座預金 70,000円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
建物 | 50,000 | 当座預金 | 70,000 |
修繕費 | 20,000 |
ポイント
- 資本的支出は資産の増加として処理し、取得原価に含めます。
- 勘定科目: 建物、備品、車両運搬具など。
- 収益的支出は費用として計上し、当期の収益と対応させます。
- 勘定科目: 修繕費。
- 改良と修繕の区別
- 改良: 資産価値の向上や耐用年数の延長。
- 修繕: 現状の維持。
まとめ
改良と修繕は、有形固定資産に関連する支出で重要な役割を果たします。正確に分類して処理することで、資産の適切な管理と収益計算が可能になります。質問や追加の例が必要であればお知らせください!
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