掛け取引は、商品の代金を後日支払ったり受け取ったりする約束のもとで行う取引を指します。日々の取引量が多い企業にとって、効率的に資金管理を行うための重要な手法です。
ここでは、掛け取引の概要と、掛けによる仕入れ・売上げの処理方法について解説します。
目次
掛け取引とは
掛け取引では、商品の代金を即時に現金でやり取りするのではなく、一定期間に発生した取引をまとめて清算します。これにより、取引の効率化や事務処理の負担軽減が図れます。
掛け取引の特徴
- 仕入れ時: 商品を受け取ったが、代金の支払いは後日行う。
- 売上げ時: 商品を販売したが、代金の受け取りは後日行う。
掛けで商品を仕入れた場合
掛けで商品を仕入れた際は、「あとで代金を支払う義務」を買掛金(負債)として記録します。
仕訳例1: 商品を掛けで仕入れた場合
取引内容:
A社がB社から商品を100円で仕入れ、代金は掛けとした。
仕訳:
- 借方: 仕入 100円
- 貸方: 買掛金 100円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 100 | 買掛金 | 100 |
仕訳例2: 買掛金を支払った場合
取引内容:
A社がB社に対する買掛金100円を現金で支払った。
仕訳:
- 借方: 買掛金 100円
- 貸方: 現金 100円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
買掛金 | 100 | 現金 | 100 |
掛けで商品を売り上げた場合
掛けで商品を販売した際は、「あとで代金を受け取る権利」を売掛金(資産)として記録します。
仕訳例3: 商品を掛けで売り上げた場合
取引内容:
A社がC社に商品(原価100円、売価150円)を売り上げ、代金は掛けとした。
仕訳:
- 借方: 売掛金 150円
- 貸方: 売上 150円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 150 | 売上 | 150 |
仕訳例4: 売掛金を回収した場合
取引内容:
A社がC社より売掛金150円を現金で回収した。
仕訳:
- 借方: 現金 150円
- 貸方: 売掛金 150円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 150 | 売掛金 | 150 |
掛け取引のメリットと注意点
メリット
- 取引効率の向上(都度の現金決済が不要)。
- 取引関係の円滑化(まとめて精算できるため双方にとって負担が少ない)。
注意点
- 売掛金や買掛金の管理が不十分だと未回収や支払い遅延が発生する可能性がある。
- 定期的な残高確認と取引明細の整理が必要。
まとめ
掛け取引を理解し、正確な仕訳を行うことで、企業の資金管理が効率的に進むだけでなく、財務状況の健全性を維持することができます。
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