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リース取引とは?その仕組みと会計処理の基本を解説

「リース取引」は、資産を所有することなく利用するための便利な手段として、多くの企業や個人に利用されています。設備投資の負担を軽減し、財務効率を高めるリース取引には、独自の仕組みと会計処理が求められます。本記事では、リース取引の基本概念、その種類、会計処理の方法、実務上の注意点について詳しく解説します。


目次

リース取引とは?

リース取引とは、リース会社(貸し手)が保有する資産を、借り手(利用者)が一定期間利用し、その対価としてリース料を支払う契約を指します。リース取引は、資産を直接購入せずに使用する手段として利用され、初期投資を抑えながら必要な資産を利用できる点が特徴です。

リース取引とは

リース取引とは、事業活動に必要な固定資産(リース物件)を一定期間にわたって借り受ける契約を指します。
この取引において、以下の2者が関与します:

  • 借手(レッシー)
    リース物件を借りる企業。リース料を支払う義務がある。
  • 貸手(レッサー)
    リース物件を貸し出す企業。リース料を受け取る。

リース取引の特徴

  1. 資産の所有権
    リース取引では、資産の所有権はリース会社にあり、借り手は使用権を得るだけです。
  2. 定期的な支払い
    借り手は、リース契約に基づいてリース料を定期的に支払います。この支払いは、リース期間中に渡って継続します。
  3. 契約期間の制約
    リース契約には通常、一定の契約期間が設定されており、途中解約には制約やペナルティがある場合があります。
  4. 財務管理の柔軟性
    リース取引により、借り手は高額な初期投資を避け、資金繰りを柔軟に管理できます。

リース取引の特徴

  • 契約期間
    あらかじめ決められたリース期間にわたって、物件を借り受けます。
  • リース料
    借手は、リース期間中に貸手にリース料を支払います。
  • リース物件の所有権
    リース物件の所有権は貸手(レッサー)に留まり、借手(レッシー)は使用権を有するのみです。

リース取引の種類

リース取引の分類

リース取引には、以下の2種類があります:

  1. ファイナンス・リース取引
  • 借手がリース物件の実質的な所有者とみなされる契約。
  • リース物件は借手の貸借対照表に計上されます。
  • 一般的に以下の条件を満たす場合に該当します:
    • リース期間が物件の経済的耐用年数の大部分を占める。
    • リース料の現在価値が物件の取得原価に近い。
  1. オペレーティング・リース取引
  • 短期間のリース取引で、借手が実質的所有者とみなされない契約。
  • リース料は期間費用として処理されます。

リース取引は、主に以下の2種類に分類されます。

1. ファイナンスリース

ファイナンスリースは、借り手が資産を事実上購入したとみなされる取引形態です。契約期間が資産の耐用年数に近く、契約終了後に資産の所有権が移転する場合があります。

  • 特徴:
  • 資産と負債を貸借対照表に計上。
  • 減価償却費を計上。
  • 契約期間中の解約が原則として不可。

2. オペレーティングリース

オペレーティングリースは、資産を短期間利用するための取引形態で、所有権はリース会社に残ります。

  • 特徴:
  • 資産を貸借対照表に計上しない。
  • リース料を期間費用として処理。
  • 契約期間が比較的短い。

リース取引の会計処理

  • ファイナンス・リース取引
    借手はリース物件を購入したものとして以下の処理を行います:
  1. リース物件の取得時に、固定資産およびリース債務(負債)を計上。
  2. リース期間中に、減価償却費利息費用を計上。
  • オペレーティング・リース取引
    借手はリース料を費用として処理。リース物件を資産として計上しません。

リース取引の例

  1. ファイナンス・リース取引の仕訳例
    借手A社がリース物件(取得原価100,000円、リース期間5年)を契約した場合。
  • 契約時(取得の記録) 借方:リース資産 100,000円 貸方:リース債務 100,000円
  • 1年目のリース料支払時(元本と利息) 借方:リース債務 20,000円 借方:支払利息  5,000円 貸方:現金   25,000円
  • 1年目の減価償却
    借方:減価償却費 20,000円 貸方:減価償却累計額 20,000円
  1. オペレーティング・リース取引の仕訳例
    借手B社がリース料10,000円を支払った場合。 借方:リース料 10,000円 貸方:現金   10,000円

リース取引の利点

  1. 資金効率の向上
    購入資金を必要とせず、キャッシュフローを安定化。
  2. 最新設備の利用
    短期間で設備を更新でき、最新技術を活用可能。
  3. 会計および税務のメリット
    一部のリース契約は税務上の優遇措置が適用される場合があります。

リース取引の会計処理

リース取引の会計処理は、リースの種類に応じて異なります。

1. ファイナンスリースの会計処理

ファイナンスリースでは、借り手はリース資産とリース債務を貸借対照表に計上します。

  • 仕訳例(契約開始時):
  • 借方: リース資産 ×××円
  • 貸方: リース債務 ×××円
  • 仕訳例(リース料支払い時):
  • 借方: リース債務 ×××円
  • 借方: 支払利息 ×××円
  • 貸方: 現金または預金 ×××円
  • 仕訳例(減価償却費計上時):
  • 借方: 減価償却費 ×××円
  • 貸方: リース資産(減価償却累計額) ×××円

2. オペレーティングリースの会計処理

オペレーティングリースでは、借り手はリース料を期間費用として処理します。

  • 仕訳例(リース料支払い時):
  • 借方: リース料 ×××円
  • 貸方: 現金または預金 ×××円

リース取引のメリットとデメリット

メリット

  1. 初期投資の軽減
    高額な資産を購入する必要がなく、資金を他の事業活動に振り向けることができます。
  2. 資産の柔軟な利用
    必要な期間だけ資産を利用できるため、事業の変化に対応しやすくなります。
  3. キャッシュフローの改善
    定期的なリース料支払いにより、資金繰りの計画性が向上します。

デメリット

  1. 総コストの増加
    購入する場合に比べて、リース料には利息や手数料が含まれるため、総支払額が高くなる場合があります。
  2. 契約の拘束力
    リース契約には解約や返却に関する制約があり、柔軟性が制限されることがあります。
  3. 所有権が得られない
    リース期間終了後も資産の所有権が得られないため、再利用が制限されることがあります。

リース取引の実務上の注意点

1. 契約内容の確認

リース契約を締結する際は、契約期間、リース料、返却条件、解約条件などを詳細に確認する必要があります。

2. 会計基準の遵守

リース取引の会計処理は、企業会計基準やIFRSなどに従う必要があります。特に、ファイナンスリースとオペレーティングリースの区分を正確に行うことが重要です。

3. 税務対応

リース料の損金算入や減価償却費の計上について、税務上の規定を確認してください。


まとめ

リース取引は、資産を所有することなく柔軟に利用するための有効な手段です。ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いを正確に理解し、適切な会計処理や税務対応を行うことで、企業の財務健全性を高めることができます。

この記事を参考に、リース取引を賢く活用して、企業の競争力を向上させましょう。

リース取引は資金調達や設備利用の柔軟性を高める一方で、契約内容によって会計処理や財務報告に影響を及ぼします。そのため、企業の戦略や税務状況を考慮して適切なリース形態を選択することが重要です。

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